日本の伝統発酵文化を支えてきた「麹菌」は、味噌や醤油、酒といった発酵食品の製造に欠かせないものだが、近年ではその健康効果や機能性成分への注目が高まっている。そこで、「麹菌の基礎と最新開発動向」と題し、幅広い用途での活用が広がりつつある麹菌に関して、2部構成のウェビナーを企画した。
第1部は種麹メーカーである樋口松之助商店の山下様に「麹菌の特性を知りさらに活用する」というタイトルで麹菌の基礎と最近の商品開発動向を、第2部では、長年麹菌を用いた発酵やその産生物の研究に取り組まれている金沢工業大学の尾関健二先生に「麹発酵物の高生産法とその機能性」についてご講演いただく。麹菌または「発酵」にご興味の方の幅広いご参加をお待ちしております。
(13:30〜14:50)
日本人は麹菌の大きな恩恵を受けており、麹を使ったさまざまな発酵食品によって、食生活に潤いを得、長寿国の基盤を形成していると言っても過言ではない。一方、これらの食品から麹菌や麹の姿を窺い知ることは出来ないことから、その働きについて理解されることが少ないのが現状である。しかし、塩こうじに端を発した甘酒の消費拡大や、海外における日本食ブームもあり、その有用性について関心が高まっている。また、近年の解析技術の進歩により、麹菌の安全性は遺伝的に担保され、さらに、遺伝子発現の関する研究により、これまで先人たちによる試行錯誤により確立されてきた製麹法の妥当性も証明されている。 本セミナーでは、麹菌や麹に関する基礎を学び、そして、新しい製品開発へ向けて、麹を利用する際に注意すべき点についてもお話しする。
(15:00〜16:20)
コメのタンパク質は6%程度でありその中の8.5割は栄養となり、残りの1.5割は難消化のタンパク質を含有している。この画分がプロラミン (レジスタントプロテイン=RP) であり、13と10kDaのRPは、大豆タンパク質由来のRPより分子量は低分子で複数のS-S結合により難消化性が優れている。先行研究では120mgのRPでコレステロール低減や便通改善の機能性が報告された。250mgのRPでは腸内細菌叢の酪酸菌の占有率が大きく高まり、新たな整腸効果と角質水分量を高めることが分かった。上記RPは麹菌の単純な発酵物である甘酒、特に原料米を低グルテリン米に変更することで特長ある甘酒が製造できる。それに対して3種類の微生物 (麹菌、乳酸菌、酵母) を活用している日本酒には、第3成分のα-エチルグルコシド (α-EG) が皮膚の基盤となる真皮層の線維芽細胞の細胞分裂を活発にでき、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生産に低濃度で影響する。特にα-EGは500mg程度で有効量であり、飲用清酒では1か月程度コラーゲンゲンスコアが高い状態を維持できる。 本セミナーでは、塗布試験も報告し、各種発酵物でα-EGを高める方法を紹介する。
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