(2012年11月2日 10:00~11:20)
イオン液体が登場して20年が経った。その間、イオン液体に関する報告数が年を追うごとに飛躍的に増加しただけでなく、活躍分野もイオニクスデバイスからバイオサイエンスと多岐にわたることが特徴として挙げられる。これには、イオン液体が有機分子で構成され、目的に合致した分子構造をデザインできる点が大きく貢献している。 本講演では、一般的なイオン液体の歴史、合成方法、基礎物性、電気化学特性について紹介し、現在知られているイオン液体に共通する特徴を述べる。
(2012年11月2日 11:30~12:50)
水や有機溶媒を全く含まない液体であるイオン液体は電気化学デバイスにとっては夢であった不揮発性電解液として注目されるようになって以来、その電解液特性についてかなり検討されてきました。本講座では特にリチウム二次電池を中心にイオン液体が有機溶媒電解液との相違点が浮き彫りとなるように種々の報告を紹介したいと思います。 また、今後の展望として、イオン液体に端を発するユニークな液体電解液であるアルカリ金属低温溶融塩、またユニークな固体電解質の可能性を秘める有機イオン性柔粘性結晶のようなゼロソルベント系物質群について紹介したいと思います。
(2012年11月2日 13:30~14:50)
蒸気圧がほとんどなく、高温でも安定なイオン液体は、これまでにない新しい潤滑剤として、高真空中や高温環境といったこれまで液体による潤滑が困難であった摺動システムをはじめとして、その応用に期待が寄せられている。潤滑剤として見た場合のイオン液体の特徴を述べるとともに、これまでに明らかとなったいくつかの問題点、またその解決方法などについて紹介することにより、トライボシステムへのイオン液体の展開の可能性について述べる。
(2012年11月2日 15:00~16:20)
イオン液体は揮発性が低く、難燃性で、電気伝導性に優れ、幅広い温度で液体状態をとり、カチオンやアニオンの分子構造やそれらの組合せで物質の溶解性など様々な性質を制御可能である。それらの従来の溶媒に無い特徴を活かして、イオン液体を分離・精製の媒体として利用した研究が盛んに進められている。 本講演では、イオン液体と種々の物質との間に働く相互作用の重要性や多様性について言及し、二酸化炭素など酸性ガスの分離回収を中心に、イオン液体を媒体として用いた分離精製技術について解説する。