廃リチウムイオン電池からの資源回収技術の動向と今後の展望

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本セミナーでは、持続可能な資源リサイクルに向けて、廃リチウムイオン電池からの資源回収技術の研究動向、低環境負荷での分離回収、超高純度回収に向けた研究動向について解説いたします。

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プログラム

第1部 リチウム資源の現状とリチウム資源の採取回収技術の開発動向と展望

(2025年8月13日 11:00〜12:00)

 世界の人口と生活水準向上に伴い、すべての資源の需要が急増大し続けています。社会の継続した拡大には、資源の循環利用や、資源の可採埋蔵量を増やす必要があります。これらを実現するには、資源に対する正確な需給見通しによる適切な投資と、低コスト、低環境負荷で資源を採取・回収する技術の確立が必要です。  本セミナーでは、自動車の電動化用のリチウムイオン電池市場の動向と、将来のリチウム資源の需給見通し、また世界的に積極的に開発が進むリチウム資源の採取・回収技術の現状、および注目される革新的技術を概説します。

第2部 水熱有機酸浸出を用いた廃棄リチウムイオン電池からのレアメタル回収技術の開発

(2025年8月13日 13:00〜14:00)

 当研究室では、増加が見込まれるLIBの正極材料を低い環境負荷で連続的に再利用できるリサイクルプロセスの構築を目的に、有機酸や水熱条件などを用いた酸浸出のプロセス「水熱有機酸浸出」の研究を進めている。  本講演では、このプロセスについての解説と、当研究室含む研究事例について紹介する。

  1. 従来の酸浸出プロセスの課題
  2. 水熱酸浸出プロセスの特徴
  3. クエン酸による水熱酸浸出の実施例
    1. 水を反応場としたコバルト酸リチウム (LCO) への適用
    2. 市販のニッケル酸リチウム (LNO) への適用
    3. スピネル型構造を有する市販のマンガン酸リチウム (LMO) への適用
  4. 硫酸を用いた水熱酸浸出の実施例
  5. シュウ酸による水熱酸浸出の実施例
  6. まとめ

第3部 セラミック分離膜を用いた水溶液からのリチウムの選択的抽出技術

(2025年8月13日 14:10〜15:10)

 リチウム資源の需要が急速に拡大する中、持続可能な調達とリサイクルの確立が求められている。本講演では、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (QST) が発案した超高純度リチウム回収技術であるイオン伝導体リチウム分離法 (Li Separation Method by Ionic Conductor;LiSMIC) を紹介し、その技術的優位性と、当社における社会実装への取り組みについて解説する。LiSMICは、様々なリチウム含有源からワンパスで超高純度リチウムを回収できる技術で、リチウム資源を循環させてエネルギー問題の解決に貢献するものである。  本講演では、LiSMICの社会実装を通じた塩湖からのリチウムの安定供給と、使用済LIBリサイクルによる資源循環への貢献だけでなく、究極的には海水からのリチウム回収によるフュージョンエネルギー (核融合) 用リチウムの国内調達の可能性についても考察する。

  1. 自己紹介、事業背景、市場動向について
    1. リチウム資源課題
    2. リチウム資源チェーン
    3. 市場規模
  2. 超高純度リチウム回収技術 【LiSMICの原理】
    1. 技術特徴
    2. 競合技術比較
  3. 社会実装装置 【LiSMICユニット】
    1. 提供製品イメージ
    2. 様々なリチウム源への適用
    3. 競合比較 (適用市場領域の違い)
    4. 既存プロセスとLiSMIC技術の比較
  4. 今後の展望

第4部 使用済みリチウムイオン電池からの資源分離回収技術

(2025年8月13日 15:20〜16:20)

 リチウムイオン電池リユース・リサイクルを実現するには、コストのかからない分離濃縮技術が必要不可欠であるが、一般に物理的分離濃縮技術は低環境負荷・低コストであるものの精度が低く、化学的分離濃縮技術は高い分離精度が得られるものの環境負荷が高くコストがかかる。また、物理的分離濃縮技術の精度を向上し、化学的分離濃縮技術の負荷を低減する技術革新も求められている。  本セミナーでは、物理的分離濃縮技術の概要と開発動向を概観すると共に、リチウムイオン電池を対象とした個別の技術開発例を紹介する。

  1. 資源循環とカーボンニュートラル、蓄電池のサステナビリティ
    1. 経済成長と資源消費と環境負荷のデカップリング
    2. カーボンニュートラルに伴う所要鉱物量の増加
    3. 環境・資源制約の中で成長を志向するサーキュラーエコノミー
    4. カーボンニュートラルと資源循環
    5. 再生材需要の高まりーEUによる戦略的な規制化
    6. 資源効率の向上でサーキュラーエコノミーを実現
  2. 資源循環のための分離濃縮技術の概要
    1. 資源循環に求められる構造制御、分離技術
    2. 粉砕の種類
    3. 資源循環型社会構築に向けた課題認識
    4. 界面での選択的な分離・分解をもたらす外力
      1. 電気パルス分解/破砕のメカニズム
      2. 従来電気パルスの効果
      3. 既存法から新規電気パルス法へ
      4. マイクロ波照射による選択的分離
      5. 電磁誘導加熱 (IH) による選択的分離
  3. リチウムイオン電池の分離濃縮技術とダイレクトリサイクルへの取り組み
    1. リチウムイオン電池のライフサイクル
    2. 車載用リチウムイオン電池の解体
    3. LiBのリサイクルフロー
    4. 加熱制御+特殊機械粉砕によるLIBリサイクル
    5. LiB正極材の資源循環の方向性とその課題
    6. LiB正極材の選択的な電気的分離
      1. アルミ箔から正極活物質が剥離する原理
      2. 分離後の正極活物質粒子の特性
      3. LCAによる新技術評価
      4. 電気パルス刺激による分離現象への寄与
  4. 当研究室が目指す資源循環型社会、将来展望

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