第1部 有機フッ素化合物の低温分解技術と再資源化
(2025年7月28日 10:30〜12:00)
フッ素ポリマーをはじめとする有機フッ素化合物は耐熱性、耐薬品性等、他の材料では実現できない特異な性質を持つ。このため様々な産業で使用されてきたが、近年のPFAS問題の顕在化に伴い、廃棄物の適正処理やリサイクル技術の確立が求められている。廃棄物を焼却処理することは可能であるが、高温が必要であるだけでなく、HFガスが発生して焼却炉材を激しく損傷する。これらを穏和な条件でフッ化物イオンまで分解 (無機化) できれば、カルシウムイオンとの反応で環境無害でかつ全ての有機フッ素化合物の原料であるフッ化カルシウムに変換できる。
本講演ではフッ素ポリマーや電気化学用PFAS類など、今なお不可欠な先端PFAS類を対象に、演者が開発してきた分解・再資源化反応について報告したい。
- はじめに 有機フッ素化合物とPFAS、定義の変遷
- 先端PFAS類の亜臨界水・超臨界水分解
- フッ素ポリマー
- フッ素系イオン交換膜 (ペルフルオロスルホン酸ポリマー) の亜臨界水分解
- ポリフッ化ビニリデン (PVDF) 、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体 (ETFE) 、VDFと他のモノマーとの共重合体、フッ素エラストマー (FKM) 、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロペン共重合体 (FEP) の分解
- 酸素ガス+超臨界水反応
- 過酸化水素+亜臨界水反応
- 過マンガン酸カリウム+亜臨界水反応
- アルカリ試薬+亜臨界水反応、人工蛍石の合成
- 低分子量PFAS類
- フッ素系イオン液体の亜臨界水分解
- 電気化学用PFAS類の亜臨界水分解
- その他の物質の亜臨界水分解
- PFAS代替物質等、最近のトピックス
第2部 パーフルオロアルキル化合物の脱フッ素水素化反応の開発
(2025年7月28日 13:00〜14:30)
本講演では、環境汚染物質として近年注目を集めるパーフルオロアルキル化合物 (PFAS) の分解手法、とりわけ触媒を用いた脱フッ素水素化反応に焦点を当て、その最新の研究動向を概観します。まず、脱フッ素化の多様なアプローチについて概要を示し、次にその根幹をなす均一系触媒反応に関する基礎的な素反応を解説します。続いて、フルオロアレーンやトリフルオロメチル基、さらには長鎖のパーフルオロアルキル基に至るまで、各種基質に対する脱フッ素水素化反応の具体例とその反応機構を紹介し、使用される触媒の設計指針について考察します。
本講演は、有機化学、触媒化学、環境化学の分野に関心を持つ聴講者にとって、基礎と応用の両面から有益な知見を提供することを目指しています。
- パーフルオロアルキル化合物の脱フッ素化
- 概観
- 触媒反応
- 均一系触媒反応の基礎
- 素反応
- 触媒サイクル
- フルオロアレーンの触媒的脱フッ素水素化反応
- 反応例
- C-F結合の切断過程
- トリフルオロメチル基の触媒的脱フッ素水素化反応
- 共役系の効果
- 金属錯体を用いた反応
- シリリウムを用いた反応
- パーフルオロアルキル基の触媒的脱フッ素水素化反応
- カルボラン触媒を用いた反応
- ニッケル触媒を用いた反応
- 今後の展望
第3部 半導体ナノ結晶を用いた可視光照射による常温・常圧下PFAS分解技術
(2025年7月28日 14:45〜16:15)
本講演では、半導体ナノ結晶に可視LED光を照射することで、PFASの中でも特に安定性の高いパーフルオロオクタンソルホン酸 (PFOS) 、およびイオン交換膜として広く利用されているナフィオンをフッ素物イオンに効率的に分解できる技術について紹介する。PFOSは405nmのLED光を8時間照射することで完全に脱フッ素化され、ナノ結晶1つあたりのC-F結合解離数は17、200と求められた。さらに、ナフィオンは24時間の光照射で81%が脱フッ素化され、可視光下での効率的な光触媒特性が示された。この分解反応は、水和電子および高励起状態を介したオージェ誘起電子注入と、光誘起配位子交換を含む複合的なメカニズムによって起こることが明らかになった。
この技術の詳細および展望について説明する。
- イントロダクション
- PFASの分解反応の現状
- フッ素材料の基礎
- PFASの定義と活用分野
- フッ素のマテリアルフロー
- PFASの分解方法
- 半導体ナノ結晶を用いたPFASの可視光分解
- 半導体ナノ結晶
- 分解反応の検証
- さまざまな条件での分解の検討
- フッ素樹脂の分解
- 今後の展望
複数名同時受講割引について
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