抗菌薬への耐性が世界的に深刻化する中、薬剤耐性菌に対する治療戦略として、バクテリオファージ (ファージ) を用いたファージセラピーが注目を集めています。
本講演では、ファージの殺菌メカニズムとファージセラピーの歴史、臨床応用の現状と将来の可能性に加え、品質管理やファージ耐性化など、実用化に向けた課題について最新の研究成果を交えて紹介し、ファージが感染症治療にもたらす革新性と展望を探ります。
- バクテリオファージのライフサイクル
- そもそもファージとは
- ファージの感染機構 (殺菌の仕組み)
- ビルレントファージとテンペレートファージ
- 感染症治療に応用するファージの特徴とカクテル化
- ファージセラピーの歴史
- トゥオートとデレルによるファージの発見
- ペニシリン以前のファージセラピー
- エリアバファージセラピーセンター
- 米国でのファージセラピー成功症例
- ファージセラピーの臨床応用性
- Fixedカクテル・Personalizedカクテル
- 世界各国での臨床試験例
- ベルギーの革新的取り組み:処方箋ファージ
- 海外で市販されているファージ製剤の例
- ファージセラピーが抱える課題
- ファージのスペクトラム
- 抗ファージ抗体の誘導
- ファージ耐性菌の出現
- ファージの安定性
- 今後のファージセラピーへの取り組み
- ファージの人工合成
- ファージの育種 (進化ファージ)
- ファージ耐性化を逆手にとった戦略
- マイクロバイオーム編集におけるファージ応用