フロー合成によるプロセス開発とスケールアップ/ナンバリングアップ

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本セミナーでは、フロー合成について基礎から解説し、実験室スケールから製造スケールへスケールアップする手法の選択や効率的な進め方、スケールアップとナンバリングアップの最適な選択と成功パターンについて詳解いたします。

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プログラム

第1部 フロー合成反応を活用した効率的な医薬品製造プロセスの開発

(2025年7月11日 10:30〜12:00)

 医薬品製造は、これまで大型の反応缶を用いたバッチ法にて行われることが殆どであったが、本方式はいくつかの問題点を有している。バッチ法による製造では、工程間や各中間体において保管や輸送期間が発生するめに生産期間が延長し、結果として薬剤調達までのリードタイムが長期化する原因となっている。また、人が介する作業が多いことからヒューマンエラーによる品質不良の増加も顕在化しており、医薬品産業が抱える課題である「薬剤の安定調達」といった観点からも問題となっている。近年、この解決法としてフロー合成反応を活用した連続生産方式が注目されている。連続生産方式では、全ての単位操作を統合することで各中間体の待機期間を大幅に削減できるだけでなく、設備のコンパクト化による生産サイトの集約化が容易となり、輸送期間の削減も期待できる。また、自動化が容易であると共にPAT (Process Analytical Technology) などのIn-line分析技術を組み込むことで高度な品質管理が可能となり、人為的ミスによる製品の品質不良を大幅に削減できる。従って、連続生産方式の導入は、薬剤の欠品リスク低減といった社会問題の解決に繋がる新たな製造方式として期待されている。2023年にはICH Q13にて連続生産に関するガイドラインが採択され、医薬品規制当局より連続生産の指針が正式に示されており、今後、医薬品製造への連続生産の活用が加速するものと考えられる。  医薬品製造への連続生産方式導入の流れを受け、当社では連続生産方式の鍵となるフロー合成反応に早期から着目し、その技術開発と実装化に向けた取り組みを推進してきた。本講演ではフロー合成反応を活用した医薬品プロセスの開発事例と、フロー反応装置の実用的な洗浄方法確立に向けた取り組みについて紹介する。

  1. 医薬品業界における連続生産・フロー合成反応について
  2. フロー合成の実装化に向けた当社の取り組みについて
  3. 医薬品プロセスの開発事例 – 1
    1. 現行法 (バッチ処方) の課題
    2. PATを活用したフロー合成反応処方の確立
    3. スケールアップの実証
  4. 医薬品プロセスの開発事例 – 2
    1. 検討課題
    2. フロー合成反応処方の最適化検討
    3. ベンチ設備での実証実験
  5. フローリアクター装置の実用的なメンテナンス法の開発
    1. フローリアクター洗浄時の課題
    2. 洗浄方法確立検討
    3. 実生産での洗浄効果の実証
  6. まとめ

第2部 実験計画法によるスケールアップフロー実験の効率化

(2025年7月11日 13:00〜14:30)

 研究において、最も労力と時間を要するのが「実験の実施」です。特にフロー合成における反応条件の最適化は、精密な温度・流量・滞留時間などの制御が求められる一方で、膨大なパラメータ空間の探索が必要となり、手作業では限界があります。本講座では、こうした課題に対して「統計学的手法×フロー合成」というアプローチで効率的な条件最適化を実現する方法を紹介します。  まず、定常状態フロー法による「9+4+1法」では、わずか13回の実験から応答曲面を作成し、14回目の実験で最適条件に到達するという手法について、マイクロ波加熱による高速反応との併用でkg/日スケールまでスケールアップした事例を解説します。さらに、擬定常状態グラジエント法では、反応条件を連続的に変化させながら機械学習でデータを処理することで、3〜4変数の最適化を5〜7回の実験で実現しました。  また、従来困難とされてきた離散型変数 (溶媒、基質など) の最適化にも踏み込み、数千の分子記述子から反応性に関わる変数を抽出し、反応収率を高精度で予測する手法を紹介します。最終的に、反応の性質に応じたプロセス開発が、実験者の知識と経験に依存することなく再現可能かつ迅速に行える「実験の実施を触媒するツール」として確立される展望についても触れます。  本講座では、化学・プロセス開発・生産技術に携わる研究者や技術者が、統計的手法や機械学習と実験設計の融合によって、どのように実験効率と反応精度を両立できるか、その実践例と共にお伝えします。

  1. 背景と課題の整理
    1. 実験実施の負担と最適条件探索の非効率性
    2. OVAT法とDoEの比較、反応空間の取りこぼし問題
  2. 定常状態法「9+4+1法」による最適化手法
    1. 最小限の実験で応答曲面を構築
    2. マイクロ波加熱との併用によるkg/dayスケール事例
  3. グラジエント法 × 機械学習による多変数同時最適化
    1. 擬定常状態での連続データ取得
    2. 数回の実験で最適反応条件予測を実現
  4. 溶媒など離散型変数の最適化手法
    1. 分子記述子+機械学習による溶媒予測モデル構築
    2. 高収率溶媒の早期特定事例
  5. 展望と未来への実装
    1. 自動化・リアルタイム分析・PATとの連携
    2. 「誰でも使える最適化ツール」への進化と社会実装可能性

第3部 ナンバリングアップの進め方と関連する技術

(2025年7月11日 14:45〜16:15)

 企業での実用研究と大学での教育の経験を生かして、フロー合成リアクタ技術の基本をわかりやすく紹介します。また、フロー合成の普及を目指して、「フロー合成におけるマイクロ化のメリット・デメリット」、「フロー合成の実験方法」、「フロー合成リアクタの試作と混合性能評価の実験方法」、「フロー合成による化学プロセス革新事例」、「シミュレーション活用の重要性」、「量産化に向けたナンバリングアップの実際」、「実証プラント化の動向」、および「Industry 4.0および Society5.0と将来展望」の順番で、講述いたします。

  1. フロー合成におけるマイクロ化のメリット・デメリット
    1. 拡散の高速化のメリット
    2. 圧力損失と表面張力によりデメリット
    3. ナンバリングアップによる量産化のメリット
  2. フロー合成の実験方法
  3. フロー合成リアクタの試作と混合性能評価の実験方法
    1. リアクタの試作方法
    2. 試作した混合性能評価の実験方法
  4. フロー合成による化学プロセス革新事例
  5. シミュレーション活用の重要性
  6. 量産化に向けたナンバリングアップの実際
    1. 内部ナンバリングアップと外部ナンバリングアップ
    2. ナンバリングアップによる量産
  7. 実証プラント化の動向
  8. Industry 4.0および Society5.0と将来展望

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