第1部 各種分析法による食品風味・品質に寄与する成分情報の可視化と定量化技術
(2025年6月17日 10:00〜12:00, 13:00〜14:00)
ヒトの感じる感覚情報のなかで、化学感覚とよばれる味覚・嗅覚情報は、視覚・聴覚などの物理感覚とは異なり時空間を越えての記録・伝達には到底至っておりません。すなわち、味・においに寄与する成分をデジタル化する技術がないのが現状です。
従来の食品分析法のほとんどは、分析対象成分が設定した分析となっており、食品中に存在する成分すべてをそのまま検出可能な手法は存在しません。汎用される液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーは、液相もしくは気相系成分の精製・濃縮と、そのための前処理を必要とします。
そこで演者らは、味やにおいに寄与する成分について、液相系と気相系の一斉同時検出を達成する分析系を新たに開発いたしました。ヒトは味覚と嗅覚を一元化した情報を風味として知覚していることから、味・におい成分を一元化情報として取得することができる本分析法により、「おいしさ」の理解が深まる可能性が期待されます。
本講演では、ヒトが食情報、味覚を感じるメカニズムから、味とにおいの同時検出に向けた分析手法について解説します。
- 自己紹介
- 食品が持つ3つの機能
- 一次機能 栄養機能
- 二次機能 感覚応答機能
- 三次機能 生体調節機能
- 食情報の伝達における言語・視覚・聴覚の役割
- 言語による食情報の伝達
- 視覚情報による食情報伝達
- 聴覚情報による食情報伝達
- ヒトの質感認知機構と食情報の伝達におけるデジタル化技術の現状
- 質感工学の流れ
- 味覚の感知機構と呈味成分
- 基本五味と感知機構
- 甘味物質
- 旨味物質
- 苦味物質
- 酸味物質
- 味の相互作用
- においの感知機構と香気成分
- 天然香気成分
- 加熱香気成分
- 味とにおいの同時検出に向けた新たな分析法
- 食品成分分析法の現状と課題
- 高速液体クロマトグラフー質量分析法
- ガスクロマトグラフー質量分析法
- レーザー脱離イオン化質量分析法 (LDI-MS) について
- レーザー脱離イオン化質量分析法
- グラファイトカーボンブラック支援LDI-MS法
- LDI-MS法によるエステルの検出
- LDI-MS法によるアルコールの検出
- LDI-MS法によるアルデヒドの検出
- LDI-MS法によるカルボン酸の検出
- アミノ酸の検出
- LDI-MS法によるMS検出機構
- GCB-LDI-MS法を用いた醤油の品質評価について
- 将来展望
第2部 味覚センサによる多様な美味しさの見える化とその応用
(2025年6月17日 14:15〜16:15)
「世界初の味覚センサ技術による食品業界のイノベーション」で、2023年2月に九州大学高等研究院の都甲潔特別主幹教授と演者は経済産業大臣賞 (技術経営・イノベーション大賞) を受賞した。ひとえに食品や医薬品のプロフェッショナルである味覚センサのユーザーのお陰である。味覚センサのユーザーにセンサ開発の方向性を教えて頂き、一緒に研究開発を行って頂き、また、ビジネス活用を教えて頂いた。味覚センサの技術的進歩と美味しさの見える化の要望により、納入実績は述べ700台を突破した。研究機関のみならず食品メーカー、医薬品メーカー及び流通小売に導入され、ビジネス活用されるようになってきた。風味は、味覚だけでなく、臭覚、触覚や視覚の総合的な感覚であるが、風味の一部の味覚だけでも見える化によりビジネスに役に立つことわかった。官能検査は非常に重要であり、食の多様化にともない、ますます官能検査が大変になってきている。味覚センサはその官能の精度を上げるためのツールである。味覚センサのデータとPOSデータ、価格や地域差のデータを組合すことで、多様な美味しさを見える化でき、美味しさの感受性が違う人々をつなぐ可能性を示す。
人類史上初の2つのことが起きている。1つは、世界中が豊かになってきている点である。もう1つは、世界中が少子高齢化社会になってきている点である。これは全く新しいニーズであり、食品業界にとってもチャンスである。ただし、国によって美味しさの感じ方が大きく異なるため、お互いが相手の味を理解することは難しい。そこで、多様な美味しさの見える化により、食品の市場調査、設計および品質管理に役に立つ。
- 食品業界の潮流
- なぜ、味覚センサが今必要とされているのか?
- 味の見える化技術
- 味覚センサの原理
- 味の数値化
- コク、キレ
- 美味しさの見る化とビジネス活用例
- 多様な美味しさの見える化
- コンセプトの明確化
- 美味しくてコストがかからない食品の最適設計
- 体によくて美味しい食品の設計
- 美味しさのプロモーション
- 製品の美味しさを保つ品質管理と品質保証
- 今後の展望
複数名同時受講割引について
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 45,000円(税別) / 49,500円(税込) で受講いただけます。
- 5名様以降は、1名あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込) で受講いただけます。
- 1名様でお申し込みの場合 : 1名で 50,000円(税別) / 55,000円(税込)
- 2名様でお申し込みの場合 : 2名で 90,000円(税別) / 99,000円(税込)
- 3名様でお申し込みの場合 : 3名で 135,000円(税別) / 148,500円(税込)
- 4名様でお申し込みの場合 : 4名で 180,000円(税別) / 198,000円(税込)
- 5名様でお申し込みの場合 : 5名で 210,000円(税別) / 231,000円(税込)
- 同一法人内による複数名同時申込みのみ適用いたします。
- 請求書は、代表者にご送付いたします。
- 他の割引は併用できません。
アカデミック割引
- 1名様あたり 30,000円(税別) / 33,000円(税込)
日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。
- 学校教育法にて規定された国、地方公共団体、および学校法人格を有する大学、大学院、短期大学、附属病院、高等専門学校および各種学校の教員、生徒
- 病院などの医療機関・医療関連機関に勤務する医療従事者
- 文部科学省、経済産業省が設置した独立行政法人に勤務する研究者。理化学研究所、産業技術総合研究所など
- 公設試験研究機関。地方公共団体に置かれる試験所、研究センター、技術センターなどの機関で、試験研究および企業支援に関する業務に従事する方
- 支払名義が企業の場合は対象外とさせていただきます。
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