製造業では研究、開発、量産、出荷後対応の各工程で実験や統計解析を行う必要があります。しかし、解析の基本原理を理解していないために解析手法や適用対象を誤ったり、正しい結果が得られていたとしてもその解釈・結論を誤ってしまうような例も少なくありません。
本セミナーでは、統計的推定の基本的な手法について、Microsoft Excelの関数を利用して、自力で解析・解釈できるようになることを目標とします。各種手法の原理的な考え方はほぼ共通なので、講義では、最も基本的な母平均の推定、母平均の差の推定に絞り、基礎知識を準備したうえで丁寧に解説します。
受講にあたっては、高校数学の基本的な知識があれば、統計学の予備知識は不要です。講義中は、演習を通して知識の定着化を図ります。また、検定や母分散・母分散比の推定など、そのほかの手法を学びたい方に向けて、独習できる詳しい解説資料とExcelサンプルファイルも講義内でご提供いたします。
- 真値、測定値、誤差
- 誤差の定義
- 誤差は永久にわからない。
誤差を求めることはあきらめる
- 真値も永久にわからないが、真値の推定値ならわかる
- 平均、分散、標準偏差
- 平均: 多数のデータが示す全体的な特徴をひとことで表したもの
- 偏差: 平均という基準からのずれを表したもの
- 分散: ばらつきを偏差の2乗に着目してひとことで表したもの
- 標準偏差: 分散の平方根をとって、元の次元に戻したもの
- 母集団と標本
- 標本の特性から母集団の特性を推定する。
- 母集団の特性は知りたいもの。
標本の特性は実際にわかるもの
- 全数検査であっても、測定値は標本として扱う
- 分布とはなにか?
- いろいろな分布
- 物理量の測定値は正規分布で近似できることが多い
- 相対度数、確率、確率密度、累積確率の違い
- 累積確率のグラフの読みかた。ばらつきとかたよりの違い
- 測定を繰り返しても、かたよりは減らない。測定器を校正しても、ばらつきは減らない。
- 標本サイズと信頼性
- 生データの分布と標本平均という量の分布の違い
- 平均をとれば、どんな分布も正規分布に近づく
- 測定を繰り返しても生データのばらつきは減らない
- 分散の式で、n-1で割ると母分散をかたよりなく推定できる
- 分散の式に登場するn-1の意味
- いつもn-1で割るとは限らない
- 統計的推定の原理
- 推定は数値で答える。検定はYes、Noで答える
- 検定より推定のほうが望ましい
- どの解析手法を選択すればよいか?
- 母平均の推定 (母分散既知/未知の場合) : 平均の値はどのくらいか?
- 両側信頼区間と片側信頼区間
- 信頼区間の意味
- 信頼率を高くすると、知りたいことが曖昧になる
- 母平均既知の場合と未知の場合で何が変わるか?
- 母平均の差の推定 (母分散既知/未知の場合) : 試料間の差はどのくらいか?
- 無意味な有意差: 統計学的な有意差があるからといって、実効的な差があるとは限らない。
- 標本サイズを増やすと、どんな僅差も統計学的には有意になる
- まとめ
- 質疑応答
以下、解説資料のみ
- 母分散の推定: ばらつきはどのくらいか?
- 母分散の比の推定: 工程変更によるばらつきの変化はどのくらいか?
- 正規分布に従わない場合に母平均・母分散を推定するとどうなるか?
- 母平均の検定 (母分散既知の場合) : 製品は不良品として出荷停止にすべきか?
- 第1種の誤り (生産者危険) と第2種の誤り (消費者危険)
- 母平均の推定における標本サイズの決めかた
- 実験の3原則
- 各種推定・検定手順のまとめ
受講者の声
- 統計について今までイメージがしづらかったものが、用語や公式の成り立ちの説明が丁寧で分かりやすかったです。
取っつき難い分野の講習内容でしたが、演習もありある程度は分かりやすかったと思います。
- 一つ一つの工程を丁寧に説明・解説していただきわかりやすかったです。
- 統計の基礎を一から学ぶことが出来た。
丸棒径の計測を例にした説明が分かりやすかった。
どのExcel関数に対応するか等、実践的な内容で、すぐに実務に役立てそうだと感じた。
- 分かりやすく有意義でした。
もう少し少し突っ込んだ話を聞きたかったが、補足資料でフォローされており、今後自習しやすいと感じた。
演習を交えた講義で、ただ聞くよりも理解しやすかったように思う。
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