コロイド法 (溶液法) で作る量子ドットは、2年前にノーベル化学賞に選ばれた分野である。蛍光体としてのこの10年の進展は著しく、発光効率などの特性が飛躍的に向上して価格が劇的に低下し、量子ドットテレビとして実用化されて、家電量販店でも良く見られるようになった。
本講座では、量子ドットの基礎的物性や合成法をノーベル賞の受賞経緯も交えて概説するとともに、実用化で直面する耐久性の問題と解決法を解説する。量子ドットは、表面の割合 (体積に対する表面の比率) が大きく、表面の僅かな欠陥で発光特性が変化する。この表面の状態をより深く理解し、耐久性を上げるために蓄積してきたガラスコートの手法を、他の最新の研究とも比較しながら、講演者独自の見解を加えて解説する。
- 量子ドット研究分野の概観
- 量子ドット研究の経緯とノーベル化学賞
- ドープされた量子ドットで期待されたこと
- 量子ドットの基本的な物性と粒成長メカニズム
- 物理的、化学的性質 (量子サイズ効果など)
- エネルギー準位の計算方法と留意点
- 量子ドットのサイズと濃度の求め方
- 粒成長メカニズムと発光効率
- 各種量子ドットの合成法・特徴と留意点
- 親水性CdTeの合成法
- 親水散性ZnSeと光化学反応を利用したシェルの付加
- 疎水性CdSeの合成と発展
- 疎水性InPの合成と最近の進展
- ハロゲン化鉛ペロブスカイト、硫化鉛およびカルコパイライト
- 量子ドットのガラスマトリックスへの各種分散法
- バルク体への量子ドット分散
- 薄膜への高濃度分散
- 微小ガラスカプセル中への分散・安定化
- 量子ドットの各種特性評価の方法
- 単一分子検出法の発明の経緯ともう一つのノーベル賞
- 単一粒子検出とブリンキング
- 発光効率 (量子収率) の計算法
- 耐光性の測定・評価法
- 耐久性向上の具体策
- ポリマーを用いる方法
- イオン結晶による閉じ込め
- アルミナ薄膜による被覆
- ガラスカプセル化
- 量子ドットの各応用分野と今後の課題・展望
- ディスプレイ用蛍光体としての量子ドット
- 量子ドットを用いた医療用の蛍光試薬
- 量子ドットを巡るよくある質問と回答
- 量子ドットディスプレイと有機ELディスプレイの違い
- ガラスカプセルの具体的使用法、量産性と価格
- カドミウム使用の制限 (RoHS指令) について
- まとめ
会場受講の複数名受講割引
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 25,000円(税別) / 27,500円(税込) で受講いただけます。
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