電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 (全量買取法) で懸案であった省令・告示の内容が公表され、また、パブリックコメントに対する詳細な「考え方」 (928回答) の公表が6月18日になされた。従来公表されていた仕組みから変更された部分も含まれる。今回公表された省令・告示及び「考え方」の重要ポイントを確実に把握して、制度の全容を掴み、今後のビジネスに生かすことが不可欠と思われる。 本講義では、あらためて制度の全容をつかむため、これらの重要ポイントを説明する。また、売電契約 (特定契約) に対する電力会社の要綱が一斉に7月1日に公表された。その内容には必ずしも新しい制度を反映していない点が見受けられる。「要綱を承認のうえ」売電契約を申し込むと要綱の内容に拘束されることになる。要綱への対応は最重要課題である。 すでに、日本国内において全量買取制度に基づく太陽光発電事業及び風力発電事業の準備が活発化してきている。電力会社との売電契約の交渉も始まっている。メガソーラー案件や風力発電案件の契約書作成も始まっている。具体的にプロジェクトを遂行するためには、土地賃貸借契約、売電契約、建設契約 (EPC) 、運営契約 (O&M) 、パネルや風車の調達契約と性能保証、保険契約、プロジェクトファイナンスの融資契約・担保契約などさまざまな契約書を作成・交渉しプロジェクトを組成していく必要がある。また、事業を行う上では税法の観点も見逃すことはできない。小規模な案件では、不動産ファイナンスの考えを応用した匿名組合を利用するTK-GKストラクチャーや信託の仕組みなども検討する必要がある。太陽光発電の屋根貸しモデルなど新しい形態に対応した契約の作成も必要となる。本講義では各契約作成の注意点を検討する。売電契約の交渉ポイントについても説明する。さらに資金調達方法としてプロジェクト・ファイナンスを考える場合の視点も織り込んでいく。