化粧品は健常者が毎日使用する「日用品」である。化粧品には高い安全性と安定性が求められている。
本稿では、未だに後を絶たない「法令違反」や「自主回収」事例を通して、「化粧品の品質保証」について考える。その中で重要な課題である「化粧品の安定性をどのように確保したらよいか」について議論したい。
化粧品の安定性には(1)設計安定性、(2)製造安定性、(3)上市後安定性がある。夫々どのように確保したらよいだろうか。講義の中で様々な安定性の確保について議論する。
更に安定性試験の方法論として、
- 第1に加速試験を用いた安定性評価について検討する。
- 第2に長期保存性試験の規格割れ予測について検討する。
これからも世界に誇れる「Japan品質」を創り続ける一助となれば幸いである。
- 第1部:「どうして減らないのか自主回収」
- 医薬品業界での不祥事問題
- 化粧品業界の実態
- 微生物汚染・異物混入の対応 (実体験を通して)
- 品質クレームの対応
- 法令違反への対応
- 誤使用の対策
- 付録:沢井製薬のモニタリング違反事例
- 第2部:「化粧品の品質保証」
- プロセスバリデーションとICH Qトリオの考え方
- 製剤開発に関するガイドライン (ICH Q8)
- 品質リスクマネジメント (ICH Q9) – QRMを用いた未然防止対策モデル -
- 品質マネジメントシステム (ICH Q10) – PQSを用いた継続改善モデル -
- リスクへの対応 – 受容可能なリスク範囲 -
- ハインリッヒの法則
- 変更管理の重要性
- GMPの限界
- ヒューマンエラーの防止策
- 技術者の心得と社会の役割
- リスクマネジメントの難しさ
- まとめ
- 第3部:「化粧品の加速試験を用いた安定性評価」
- はじめに
- 化粧品の安定性評価方法
- 化粧品の経時安定性評価
- 経時安定性と反応速度論
- データとばらつき
- 一次反応におけるアレニウス式の活用
- 安定性評価の計算手順例
- まとめ
- 第4部:「化粧品の品質安定性設計」
- トレンド解析 (いつまでもつか)
- 製造ばらつきへの対応
- 化粧品品質の許容差設計
- まとめ
- 第5部:「EXCELで計算してみよう」
- 相関と回帰の計算
- 95%信頼限界の計算
- 残存量の推定
- まとめ
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