回転機械の実務者にとって、ロータを安定にかつ高速に回転させる技術が肝要である。系として安定と不安定の作用力の差は紙一重であるが、設計力には大きな差が潜む。
日頃より、明快な解析力でロータを設計し、しっかりとした理解力で運転せねばならない。ロータ振動の設計、計測、診断までを実用的な見地から、事例を基に説明する。実際のシミュレーションHIL波形が理解を加速すると期待する。
ISO準拠の振動診断士の入門編に関しても概説する。
電卓、三角定規、分度器を持参ください。
1日目 (2012/10/30)
回転機械の振動解析と振動対策
~ロータ振動問題に対する実用的なアプローチを学ぶ~
- 回転軸の減衰固有振動について
- 単振動系の固有振動数と減衰比測定
- ジャイロ効果とふれまわり運動
- 多自由度系の振動解析
- モード質量測定
- ロータ振動の共振
- 共振周波数と共振倍率
- 強制振動のふれまわりモード解析
- 静止座標系から回転座標系へ
- 座標変換
- ふれまわりと波動伝搬
- 振動周波数の変移
- 翼・羽根車系の固有振動解析と共振
- 固有値解析と固有モード
- 共振条件
- ロータ系の安定性
- 内部減衰
- 非対称ロータ
- 磁気軸受による振動低減化
- v_BASE (振動問題の解決事例) に学ぶ振動対策
- ISO振動診断士認証制度紹介と試験試行
2日目 (2012/10/31)
ロータ振動HIL (Hardware In the Loop) と振動診断
- ロータ振動HILについて
- 回転機械振動をシミュレーションし、実際と似たような振動波形を発生させるHIL (hardware In the Loop) 技術について,HIL手法の動機とツールならびに効能を概観する。
- 振動現象のメカニズム
- 不釣合い振動のメカニズム (共振、バランシング、熱変形)
- クロスばね効果 (前向き及び後ろ向きモードの安定化と不安定化)
- 流体力に起因する不安定振動
- AMB (磁気軸受) による振動制御 (FB制御とFF制御)
- 内部減衰による不安定振動
- ロータ振動の信号処理
- PLL (Phase Locked Loop) 回路
- ボード線図とナイキスト線図
- FFT (離散フーリエ変換) とスペクトル
- フルスペクトル
- ロータ振動HILと振動診断
- インパルス応答試験
- 不釣合い振動とバランシング
- 各種バランシング演習
- クロスばね効果いろいろ
- HILシミュレーション演習
- 与えられた課題に対してMATLABプログラムを共同で作成し、HILツールにて異常振動を発生させ、FFTで分析を行なう。
課題候補:軸剛性の異方性による振動、接触振動、玉軸受振動包絡線処理 など