本セミナーでは、有機活物質を用いた有機リチウムイオン二次電池およびレドックスフロー電池の研究について、基礎的な開発コンセプトから国内外における最近の研究動向について解説いたします。
また、講師らが独自に開発した開殻有機分子であるトリオキソトリアンギュレン中性ラジカルを用いた高容量有機リチウムイオン二次電池の研究開発について、その学術的背景からそれを電極活物質として利用するコンセプトに焦点を当てて解説いたします。
高性能で安全な蓄電デバイスの開発は、再生可能エネルギーの利用拡大さらにはカーボンニュートラル社会の実現に向けた最重要課題の一つである。リチウムイオン二次電池は携帯型電子機器や電気自動車の電源として現在広く活用されている。また、レドックスフロー電池は家庭や発電所など、大容量の蓄電に適した定置型蓄電デバイスであり、今後の急速な利用拡大が見込まれている。一方、それらはコバルトやバナジウムといった遷移金属イオンの酸化還元を充放電に利用することから資源量の制約や安全性などの問題を抱えており、普及拡大の大きな妨げとなっている。このような観点から近年、遷移金属イオンの代替材料として、資源量に制約がなく環境負荷も小さな有機活物質を利用する研究が盛んに行われている。 本講演では、有機活物質を用いた有機リチウムイオン二次電池およびレドックスフロー電池の研究について、基礎的な開発コンセプトから国内外における最近の研究動向について紹介する。また、我々が独自に開発した開殻有機分子であるトリオキソトリアンギュレン中性ラジカルを用いた高容量有機リチウムイオン二次電池の研究開発について、その学術的背景からそれを電極活物質として利用するコンセプトに焦点を当てて解説する。さらに、最近我々が着手した水系レドックスフロー電池に用いる有機活物質の開発についても、その設計指針から最近の研究状況について解説する。
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