プラスチック・樹脂における耐衝撃性向上技術と衝撃特性解析

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本セミナーでは、プラスチック・樹脂における耐衝撃性向上について取り上げ、CFRPやCFRTPにおける「繊維の長さ」やフィラーの「形状や配向」の調整、各種添加剤の選び方と使い方について詳解いたします。

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プログラム

第1部 ポリマーアロイ、ポリマーブレンドによる耐衝撃性向上

(2025年1月16日 10:00〜11:40)

 構造材料としての高分子材料には耐衝撃性・耐熱性・柔軟性・寸法安定性、耐候性、軽量性、易加工性など様々な性能が要求されるが、これらは相互に二律背反的である場合が多い。耐衝撃性の向上のために、エラストマーなど低剛性の改質材を添加する方法や、二律背反である物性の同時改良法としての非相溶系のポリマーアロイ技術が確立されている。一方、最近の市場からの要請はより高水準の性能・機能の要求へと進展しつつある。  本講では、基礎的な物性発現機構の理解を深め、耐衝撃性改良剤の使用例や、最近のナノ/ミクロの両サイズレベルでモルフォロジーを同時に制御する「第四世代ポリマーアロイ」技術の特徴までを紹介して、耐衝撃性の改良・向上の視点から俯瞰的に解説する。

  1. 高分子材料への要求特性と分子構造
    1. 耐衝撃性
      1. 衝撃・破壊の機構
      2. 衝撃強度試験法の理解
      3. 耐衝撃強度と高分子の分子構造
    2. ポリマーブレンド系の耐衝撃強度
      1. 衝撃改良材としての軟質ポリマー
      2. 汎用樹脂の衝撃改良材
  2. 高分子材料の物性間の二律背反的特徴
    1. 耐衝撃性と耐熱性
    2. 耐衝撃性と柔軟性
    3. 耐衝撃性と加工成形性
  3. 二律背反的な諸物性の同時改良技術
    1. 第一世代ポリマーアロイ技術と
    2. 二律背反を克服できない第二世代ポリマーアロイ
    3. 第三世代ポリマーアロイ技術
    4. 衝撃吸収機構とポリマーモルフォロジー
  4. 第四世代ポリマーアロイ技術と耐衝撃性
    1. ナノサイズモルフォロジーの形成
    2. ナノサイズ分散ポリマーブレンド系の物性
    3. 第四世代ポリマーアロイ技術を支える要素技術
    4. 第四世代ポリマーアロイの工業化の実例
    5. 第四世代ポリマーアロイ技術の今後の進展の可能性

第2部 耐衝撃性・機械的物性を向上させる添加剤

(2025年1月16日 12:30〜13:30)

 プラステック材料の物性のコントロールに、粒子状・繊維状の無機材料やセルロース系材料が用いられる。しかしながら、低極性であるポリマーに相対的に高極性のフィラー材料はなじみにくい。両者の界面に介在し、分散性・密着性を上げることで、粒子・フィラー材料の能力を最大限引き出すことができる。  本講では、プラステック材料全体としても各種機械的・熱的物性の向上が図られる。ここではそうした界面制御の添加剤を紹介する。

  1. 高分子量を保持しながら極性基を導入したSCONAシリーズ
    • カップリング剤・相容化剤としての機能
  2. ポリオレフィン等への無水マレイン酸の付加技術
    • 固相法と溶融法の特徴
  3. カップリング剤によるフィラーとマトリクスの密着性の向上メカニズム
    • ガラス繊維・木質繊維等での実験結果
  4. 異種ポリマーの相容性の向上と耐衝撃性
    • 曲げ強度・引張強度・衝撃強度の向上
  5. バイオベースのプラスチック材料向け添加剤
    • ポリ乳酸ベースの相容化剤
    • 今後の開発の方向

第3部 繊維複合材料や発泡樹脂における耐衝撃性向上について

(2025年1月16日 13:40〜14:40)

 強化繊維複合材料や発泡体コア材の利用のみならずリサイクルにおいても、その耐衝撃性は重要なファクターとなる。グローバルな市場は、軽量化や耐衝撃性向上はもちろんそれ以外に、何を求めてどこへ向かっているのかについて解説する。また、2022年5月にパリで開催されたJEC Paris 2022から見た連続繊維と熱可塑性樹脂の複合材料と特徴と応用事例紹介をする。

  1. 強化繊維複合材料の種類とその耐衝撃性の考え方
    1. 熱硬化性複合材料と熱可塑性複合材料の違い
    2. 繊維長と耐衝撃性
    3. エネルギー吸収
    4. CFRP vs CFRTP
    5. GFRP vs GFRTP
  2. 発泡体の種類とその耐衝撃性の考え方
    1. 硬質プラスチック独立気泡発泡体
    2. カーボン発泡体
  3. JEC Paris 2022
    1. 展示会の概要
    2. サステナブル熱可塑複合材料
    3. 繊維とマトリックスの組合せ
    4. 熱可塑性複合材料の特徴
    5. サンドイッチ構造
    6. 主な展示品 自動車部品、スポーツ用品、通信機器
  4. 今後の展開
    1. リサイクル
    2. バイオベース
    3. 難燃性

第4部 リサイクルプラスチックにおける耐衝撃性の改善について

(2025年1月16日 14:50〜15:50)

  1. ポストコンシューマ
  2. リサイクル材料の衝撃改善
  3. 他の添加剤との併用効果

第5部 ナノレベルで相構造制御した高耐衝撃プラスチックの開発と部品軽量化への応用 (発泡成形ドアトリムを題材として)

(2025年1月16日 16:00〜17:00)

 私どもが開発したPP/PAアロイは、ナノオーダの相構造制御により世界トップレベルの衝撃強度を達成した高耐衝撃プラスチックである。  今回のセミナーでは、この耐衝撃プラスチックの材料設計の考え方 (リアクティブプロセッシングを適用) 、耐衝撃特性の向上メカニズム、PP向け衝撃改質剤としての活用法を紹介するとともに、発泡成形ドアトリムへの応用 (クラウンに搭載) について解説する。

  1. 高耐衝撃プラスチックの開発
    1. 開発の背景 (バイオプラスチック採用部品の拡大)
    2. 相構造制御のための材料設計手法 (リアクティブ・プロセッシングの適用)
    3. 耐衝撃特性の向上メカニズム
    4. 高耐衝撃プラスチックの主要特性
  2. ポリプロピレン用衝撃改質剤としての活用
    1. 衝撃改質剤とは?
    2. 一般的なPP用衝撃改質剤に対する有用性
  3. 発泡成形ドアトリムへの適用
    1. 開発の背景 (軽量化および安全性ニーズ)
    2. 射出発泡成形とは?
    3. 射出発泡成形の開発変遷
    4. 高耐衝撃プラスチックを衝撃改質剤とした発泡ドアトリムの開発
  4. 今後の材料拡販に向けて
    1. 低コスト高耐衝撃プラスチックの材料設計の考え方
    2. 三井化学 「タフマーTM CR-1202」としての一般発売
    3. 新型クラウンへの採用

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