製造研究は企業化の研究であり、私の中では研究手法は確立していると思っている。トラブルの原理も分かるし、研究の仕方、スピードアップ研究法もできている。
今回、光学活性体の製造について企業化したもの検討したものについて話をする。基本的には光学活性体の製造研究は一般化学品と何も変わらない。1つ違うことは、副反応としてラセミ化があり、それを認識するのに分析法がいることである。
晶析法に関してはできない晶析はないと思っている。私の開発した滴下晶析法と30%晶析法を使うと濾過性の改善、個体移動改良、結晶多形の制御、粒度分布のコントロールができる。よくスケールアップトラブルというが晶析に関しては、ラボトラブルであるがそれが判断できないのである。見る人が見るとすぐ分かるのだが。晶析はトラブルの最も多い操作である。
- スケールアップトラブルの未然防止
- 今回はポイントだけ話すが、実験は日に2回正確な実験ができ、たくさん実験するとトラブルはラボだけで解決出来る。勿論それなりの方法がある。
- 製造研究はやり方が決まっていて、思うよりはるかに早くトラブルのないフローシートを作れる。大事なのは管理者の能力である。管理者が無知だとそのチームは非常に効率の悪い組織になる。
- 光学活性体
- 経済性だけを問題とした光学活性体農薬の企業化 (タルガ)
- PGE1の企業化
- 光学分割に負けたキラル合成
- カラムを用いたラセミ体からの光学活性体の単離
- 滴下晶析
- 結晶多形の選択晶析のために開発した晶析法
- 難濾過性化合物の濾過改善
- 粒度分布のコントロール
- 有機溶媒中の有機アミン塩酸塩の濾過性改善
- 30%晶析法
- 特に特徴的なのはトルエンに溶解し、貧溶媒としてn―ヘキサンを加えて晶析、しばしば濾過不能な結晶になるが、30%晶析法では良い結晶を得ることができる
- いろいろな形の晶析トラブルに対処可能
- 滴下晶析と30%晶析法を組み合わせると企業化は問題なく出来るだろう
- 含液率300%、濾過3日、乾燥5日は立派なトラブル企業化はできない、ラボで何とかしなくてはいけない