電気自動車 (EV) 、空飛ぶクルマ (スカイカー) や電動化航空機などEモビリティの主機駆動モータの小型・軽量化、高効率化に向けた技術革新が進んでいる。最近のEVパワートレインの開発のトレンドは、800Vアーキテクチャの高電圧化、SiCインバータを用いた高速スイッチング (高周波) 化、さらに高回転領域での高トルク化であり、そのためのモータ絶縁の強化と効率的な冷却、熱マネジメントがコア技術である。EVモータの絶縁性能を左右するのがモータ固定子 (ステータ) の巻線 (マグネットワイヤ) 技術であり、高機能な平角線の開発が電線メーカーや樹脂メーカーが一体となって活発に実施されている。また、EVへの適応拡大する平角線の国際規格化も加速している。
高電圧化、高周波化、電流増大によるパワー密度の向上や温度上昇を考慮した設計には素線の選択と巻線構造の最適化が必要である。丸線から平角線にシフトすることで工作プロセスの簡素化、自動化が進むだけでなく、導体部分の占積率が向上するため、コンパクトなステータ設計が可能である。また、高耐熱性の樹脂材料を被膜層に用いた高膜厚化 (押し出し線、AI厚肉エナメル線) や低誘電率化 (気泡充填、架橋フッ素) の特徴をもつ平角線の開発も進んでいる。一方、今後さらに高周波化が進むと表皮効果により、丸線に比べて銅損失が大きくなるため、1スロット内に多数挿入できる平角線の技術が必要となってくる。その場合、従来のヘヤピン平角線では溶接箇所の数が増え、工程も複雑となるため、モータ効率と電気絶縁を両立させた連続ヘアピン波巻線も開発されている。
電動モータの巻線設計および開発において、各モータ構造の磁束分布、熱分布、パワー特性やリップルを含むトルク特性等はシミュレーションツールを用いた性能解析によって調べられている。しかし、EVモータの絶縁破壊は複雑な部分放電 (PD) 現象によって引き起こされることから、その寿命予測はシミュレーション手法では困難である。本講演ではモータ巻線の部分放電特性から発生の予測方法、PD計測データのばらつきの各要因等の高電圧絶縁・評価の基礎から分かり易く解説する。さらに、今後の800V以上の高電圧化に向け、部分放電フリーを実現する絶縁設計と信頼性評価方法について具体例を示しながら解説する。
- 電動化モビリティの高電圧絶縁の技術動向
- 車載電装品の高電圧化の開発動向
- EVモータ用マグネットワイヤ (巻線) の開発動向
- 高電圧絶縁技術の基礎
- 絶縁破壊につながる部分放電 (PD) とは何か?
- 樹脂材料の特性と絶縁劣化メカニズム
- PD発生電圧 (PDIV) の予測方法
- モータの絶縁構造と弱点部位
- 交流試験とインパルス試験方法
- PD発生の周囲環境の依存性
- 巻線・絶縁技術と絶縁評価方法
- EV用巻線に求められる特性
- 巻線被膜層の高耐熱性樹脂材料
- ヘヤピン平角線と連続波巻平角線
- 押し出し線、厚膜AI線、ラッピング平角線 (横巻線)
- ナノコンポジット (耐サージ) 巻線
- 保護用ワニス
- 平角線と国際規格
- 絶縁評価試験のためのPD計測とデータ収集・処理方法
- AC試験器とインパルス試験器
- 計測値のばらつきの要因
- インパルス電源、各種PDセンサー
- センサー感度とノイズレベル、閾値設定、判定条件
- 繰り返しインパルス電圧の印加方法、データ収集と処理方法
- 恒温恒湿槽を使った測定方法と注意点
- 巻線と駆動モータの絶縁評価試験の具体例
- 試験サンプル
- 各試験サンプルのPDIV計測と寿命試験
- PDIV計測値の電圧波形依存性
- PDIV計測値の環境要因依存性
- PDIV計測値の周波数依存性
- 汎用線と耐サージ線の寿命試験
- 保護用ワニスの絶縁評価試験
- EV用モータと産業用モータの絶縁評価試験の相違点
- ステータ巻線方式と各コイルにかかる分担電圧計測
- 実機モータの各環境要因に対するPDIV特性
- まとめと今後の課題
- 質疑応答
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