製造業において、外観検査は製品の品質管理に欠かせないプロセスである。従来は、専門的知見をもつ技術者が目視で不良の有無を確認していた。しかしながら、検査項目の増大や人手不足の深刻化により、この検査工程の自動化がモノづくりの重要な課題となっている。近年では、ディープラーニングのような統計的機械学習に基づく外観検査AIが注目を集めている。このようなデータ駆動的アプローチは、十分な訓練データさえ準備できれば、従来のルールベース的な手法と比べ、より柔軟で例外に強い 自動外観検査の実現が期待できる。
本セミナーでは、外観検査AIの導入に関心を抱いている技術者や管理責任者を対象とし、外観検査AIの概要、技術的背景、技術動向、導入の際に考慮すべき困難性などについて概説する。また、画像からの異常検出技術の研究開発に用いられるベンチマークデータや、近年提案されている代表的な外観検査AIモデルについて紹介する。最後、GoogleColabでPaDiMと呼ばれる画像の異常検出モデルを走らせる演習課題を提供する。
- 外観検査AIの概要:何が期待できるか?
- ルールベースの自動外観検査技術
- AIによる自動外観検査
- 自動外観検査タスクの例1:Defect Detection
- 自動外観検査タスクの例2:Anomaly Classification
- 自動外観検査タスクの例3:Anomaly Localization
- ベンチマークデータの例 (実データ)
- MVTec AD dataset
- BTAD (beanTech Anomaly Detection) dataset
- MVTec LOCO AD dataset
- VisA dataset
- Severstal:Steel Defect Detection dataset
- PlantVillage dataset
- 自動外観検査を困難にする要因
- 訓練データの不均衡性
- 不良モードの多様性
- 基準の設定が困難な不良
- 外観検査に関連が深いAIの概念
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 限られた訓練データからの学習
- 半教師あり学習
- 弱教師あり学習
- 転移学習
- 継続学習
- 外観検査AIの技術例
- 教師なし学習に基づく外観検査AI
- Feature Embedding based Methods
- Reconstruction based Methods
- Feature Embeddingに基づく手法の例
- Teacher-Student Architecture
- One-Class Classification
- Distribution Map
- Memory Bank
- Reconstructionに基づく手法の例
- Reconstruction
- Autoencoder
- GANomaly
- InTra
- Denoising
- denoising ED
- DRAEM
- DiffusionAD
- Inpainting
- Colorization
- 社会実装や長期運用に向けた課題
- Dataset Drift, Domain Shift
- Conceptual Drift
- 新規性や外れ値の検出
- 解釈性の問題
- 演習課題