第1部 承認申請をふまえた分析法バリデーションの実施・対策
(2024年11月6日 10:30〜12:00)
新薬承認申請 (NDA) は、医薬品提供者が新薬の製造および販売の認可を規制当局に正式に提案することである。その目的は規制当局の審査官が候補薬剤の完全な履歴を確立するために十分な情報を提供することである。米国FDAにおいても日本でもほぼ同様の手順で新薬承認申請がおこなわれている。
本講演では、『承認申請についてふまえた分析法バリデーションの実施・対策』について説明する。
- 分析法バリデーションに関する実施項目
- 分析法に関連する様々な分析能パラメータを検討するための指針を示すことが目的である。例えば特異性の立証など、原薬や製剤の品質を保証するために複数の分析法の総合的な能力を評価することも含まれる。
- 特異性 (Specificity)
- 確認試験 (Identification)
- 定量法と純度試験
- 直線性 (Linearity)
- 直線関係が認められる場合、最小二乗法による回帰直線の計算などの統計的手法を用いて測定結果を評価する。分析値と試料濃度との直線関係を得るためには、回帰分析前にデータを数学的に変換する必要があることもある。回帰直線からは、直線性の程度を数学的に評価するための情報が得られる。
- 範囲 (Range)
- 規定すべき範囲は、通常、直線性を検討することによって導かれ、分析法が適用される目的に依存する。
- 真度 (Accuracy)
- 真度は、分析法の規定する範囲全域にわたって、立証される必要がある。
- 精度 (Precision)
- 併行精度 (Repeatability)
- 室内再現精度 (Intermediate precision)
- 室間再現精度 (Reproducibility)
- 検出限界 (Detection limit)
- 定量限界 (Quantitation limit)
- 頑健性 (Robustness)
- 頑健性は、分析法を開発する段階において検討しておくべきであり、その評価方法は開発しようとする分析法のタイプに依存する。頑健性は、分析条件を故意に変動させたときの分析法 の信頼性を表す。もし、測定値が分析条件の変動の影響を受け易いようであれば、分析条件を適切に制御する 方法を考慮するか、あるいは、そのことを分析法の中に注意事項として盛り込む必要がある。 頑健性を評価することによってシステム適合性に関する一連のパラメータ (例えば、分離度) を確立することができる。これらのパラメータを確認することによって、日常の分析において分析法の妥当性が維持されていることを保証できる。
- システム適合性試験 (System suitability testing)
- システム適合性試験は、多くの分析法にとって欠くことのできない一部分である。この試験は、装置、電子工学的技術を用いる系、分析操作及び分析試料がそれらだけで評価を行える完 結したシステムを構成しているという考え方に基づいている。分析法において確立すべきシス テム適合性のパラメータは、バリデートしようとする分析法のタイプに依存している。
第2部 CTDにおける分析法・分析法バリデーションの記載
(2024年11月6日 13:00〜16:30)
コモン・テクニカル・ドキュメント (CTD) は、医薬品等の承認申請書に添付すべき資料として位置づけられ、申請書とともに提出し、審査を受けます。CTDに書かれた分析法および分析法バリデーションも同時に審査を受け、記載内容に不備があった場合には照会が発出され、全体の審査が遅れることになります。
今回は、CTDにおいて不備がないような分析法および分析法バリデーションの書き方について解説します。
- CTDとは
- CTDと「申請資料の信頼性の基準」
- CTDと申請書
- CTDの構成
- CTDにおける分析法・分析法バリデーション
- 適切なCTDの作成
- 分析法 (規格及び試験方法) の記載
- 規格
- 性状
- 確認試験
- 純度試験
- 重金属
- ハロゲン化物
- 類縁物質
- 乾燥減量
- 強熱残分
- 定量法
- 標準物質
- 試薬・試液
- 備考
- 定量法、類縁物質の分析法バリデーションの記載
- 特異性
- 直線性
- 範囲
- 真度
- 精度
- 定量限界および検出限界
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