水中音響/音波伝搬・信号処理技術の基礎からその応用と課題まで

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海中を伝搬する音波は水温・塩分・水圧 (深度) 変化の影響を受け、空中に比べるとより大きな屈折を生じ、さらに海面・海底等での反射や散乱も伴うため複雑な音場が形成されることになります。  このためソナーの探知能力も海洋環境に大きく左右されることから、その効果的な運用には音波伝搬特性の把握が不可欠であり、講演前半ではこれらの基本的な関係を分かりやすく解説します。また、後半は魚群探知機のように既製品として入手可能な廉価なソナーを利用し、港湾内外や沿岸域での密漁者・不審物の探知や音響無線遠隔操作式水上・水中ドローンへの活用を図った研究成果等を紹介します。

  1. 基本編
    1. 海洋音響環境
      1. 水温・塩分・水深変化と音速分布
      2. 海底堆積層の反射特性
    2. 海中音波の伝搬特性
      1. 拡散・減衰・反射損失と伝搬損失
      2. 波動方程式と送受相反定理
      3. ノーマルモード法と変形音線法
      4. 距離依存型伝搬モデル:AD法,PE法
      5. 地形変化と海底反射・水平屈折
      6. 浅海域での伝搬計測とシミュレーション評価
    3. 海洋音響トモグラフィー
      1. 合成開口音響アレイ
      2. インバージョン法
    4. パルス信号波形の伝搬変化
      1. 位相速度と群速度の周波数特性
      2. 時間反転波 (TRM)
  2. 応用編
    1. 遠隔操作式水上無人機
      • ソナーを用いたアマモ群落の調査
    2. 海中セキュリティ対策用装置
      • サイドスキャンソナーを利用した不審者・テロ対策
    3. 遠隔操作式水中無人機
      • M系列音響信号を利用した水中通信・制御
    4. 自律移動式水上無人機
      • 水中移動体の自動探知・自律追随
    5. 極浅海域での時間反転波を利用した海中探知方式
      • 時間反転波を利用した水中移動体の探知
    6. 水路管変形部の検出
      • 合成開口音響アレイを利用した水路管変形部の特定

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