樹脂の機能性付与・向上 (導電性コース)

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電子部品における樹脂材料の役割はますます大きくなっています。樹脂に導電性フィラーを複合させ、導電性を付与・向上させる技術も、近年目が離せない分野ではないでしょうか。  導電材料をいかに制御しながら分散し、導電性を向上させるのか。本セミナーでは、ますます注目を増すカーボン系の導電性フィラーも取り上げて、導電性発現のメカニズムから、導電性向上へのアプローチまでを解説いたします。

第1部 導電性フィラー充填樹脂の導電性メカニズム

(2012年10月12日 10:30〜12:00)

 ナノカーボンのネットワーク形成の構造観察と導電性のシミュレーションにより、導電性の発現を目に見える形でわかりやすく解説する。アセチレンブラック (AB) 、カーボンナノファイバー (VGCF) 、単層および多層カーボンナノチューブ (SWNT, MWNT) などのネットワーク形成を、各種顕微鏡 (FE-SEM, TEM, AFM, LSCM) で観察した結果を示す。  マトリックスポリマーとの相互作用を利用して、ごく少量のナノカーボン充填でネットワーク形成を行い、高い導電性を発現させる種々の方法を紹介する。

  1. フィラーの分散に影響を及ぼす因子
    1. ポリマーとフィラーの間の界面エネルギー
    2. ポリマーの屈曲性とフィラーへの吸着
    3. ポリマーの粘度と成形条件
  2. 非接触ナノカーボン間に電子は飛ぶか? -Yes, they can!
    1. 3次元TEM観察と導電性の結果
    2. ランダム・レジスター・ネットワークによるシミュレーション
    3. 電位マップと電流マップ
    4. 粒子クラスターと電流クラスター
  3. 低充填で高導電性発現の方法:一般法
    1. フィラーの選択的局在化
    2. ぬれ性パラメーター
    3. ダブルパーコレーション
    4. ポリマーブレンド界面への局在化
  4. 低充填で高導電性発現の方法:各論
    1. 混練中におけるカーボンブラックの選択的局在化
    2. PMMA/ABにおける動的パーコレーション
    3. HDPEによるVGCFのボンディングと選択的局在化
    4. イオン液体を用いたSWNTの分散とネットワーク形成
    5. ポリマーとの相互作用を利用したMWNTの分散
    6. PP/MWNT射出成形品の導電性向上法

第2部 カーボン系導電性フィラーによる 導電性付与技術

(2012年10月12日 12:45〜14:15)

 カーボン系導電材料の内、カーボンブラックとカーボンナノチューブについての概説を行い、それぞれが有する特徴を明確にする。樹脂材料やLiB (リチウムイオン電池) を始めとする二次電池材料等への導電性付与技術は、混練技術を始めとするブラックボックス化したプロセシングマターに起因することも多く複雑で一括りで説明することは難しい。  本セミナーでは、導電性付与技術の切り口としてカーボン系導電性フィラーの性状に着目し、それらの特徴を活かした展開事例を紹介し、樹脂や電池材料等への用途展開を図る上での有益な基礎知識を提供する。

  1. はじめに
    1. 2種類のカーボン系導電フィラー
      • カーボンブラックとカーボンナノチューブ (CNF、CNT)
    2. 各種導電性フィラーの代表的用途
  2. 基本性状の評価方法
    1. カーボン系導電フィラーの基本性状
      • モルフォロジー
      • 結晶学的性質
      • 化学的純度
      • 物理的性質
    2. 基本性状の評価方法
      • 粉体特性
  3. カーボンブラック
    1. カーボンブラックの製法
    2. 代表的な導電性カーボンブラック
    3. 用途例と要求特性
    4. 電池用途におけるカーボン系導電材の役割
      • LiB (リチウムイオン二次電池)
      • 燃料電池
      • 電気二重層キャパシター、鉛蓄電池
    5. 導電コンパウンド用途におけるカーボン系導電材の役割
      • ポリスイッチ (PTCサーミスタ)
  4. カーボンナノチューブ (CNF、CNT)
    1. カーボンナノチューブの製法
    2. 代表的なカーボンナノチューブ
    3. 導電材としてのカーボンナノチューブの用途例
    4. カーボンナノチューブの課題
  5. カーボン系導電フィラーによる高導電化付与技術例
    1. アセチレンブラックを高充填させる
    2. アセチレンブラック自身を高導電化させる
    3. カーボンナノチューブの高充填させる
    4. カーボンブラックの分散性を高める
    5. アセチレンブラックとカーボンナノチューブを複合化させる
  6. 最後に/まとめ
    1. カーボン系導電フィラーの課題と今後の技術展望

第3部 カーボンナノチューブのマイルド分散と樹脂の高導電化

(2012年10月12日 14:30〜16:00)

 カーボンナノチューブ (CNT) に代表されるナノ炭素材料は、電気的、熱的、光学的に極めて多様な特性を発現するナノフィラーとして注目されていますが、産業界で利用するには、ナイサイズ由来の凝集構造をマイルドに分散・複合化して、如何にしてCNT本来の特性を発揮させるかが重要となります。  本講演では、CNTを水や有機溶剤中で液相分散させる際の留意点をソフト面 (分散剤) とハード面 (分散機) の両面から解説するとともに、新しく開発したCNT/熱可塑性樹脂等の固相分散技術にも言及します。更に、CNTの導電性能に着目した幾つかの開発事例を紹介します。

  1. カーボンナノチューブとは
    1. CNTの魅力
    2. CNTの特性
    3. CNTの期待される用途
    4. CNTデータベースの構築
  2. カーボンナノチューブの分散
    1. 分散上の留意点と界面科学的視点
    2. マイルド液相分散技術
      1. 分散剤の選択
      2. 散機の選定
    3. 新しい固相分散技術
  3. 応用開発事例
    1. 透明・静電防止塗料
    2. 透明導電膜/フィルム
    3. CNTペーパー
    4. CNT/熱可塑性樹脂複合材料
    5. CNT被覆複合材料
  4. まとめと将来展望

第4部 低抵抗樹脂組成物の抵抗率測定の信頼性評価

(2012年10月12日 16:15〜17:45)

 導電性の制御及びその均一性を向上させるためには、抵抗率の測定は不可欠である。抵抗率は材料の導電性を定量的に表す基本的な物理量であり、電気抵抗とは異なり、材料の形状には依存しない。  低抵抗領域における抵抗率の測定には、一般的に4線式測定法が用いられている。  抵抗率を正確に測定するためには、測定時の電気的誤差要因を最小限に抑え、材料の形状に応じて測定値を正確に補正することが大切である。

  1. はじめに
    1. 材料の抵抗率
    2. 導体、半導体、絶縁体の抵抗率
    3. 低抵抗材料の抵抗率の測定
  2. 低抵抗率の測定における誤差要因
    1. 2線式測定と4線式測定
    2. 熱電効果
  3. 低抵抗率の測定方法
    1. 4探針法
    2. デュアル・コンフィギュレーション法
    3. 4重リングプローブ法
  4. 補正係数とその実験的検証
    1. 直方体材料
    2. 円板材料
    3. 円筒材料
  5. その他
    1. 4探針法の非破壊測定への応用

会場

品川区立総合区民会館 きゅりあん
140-0011 東京都 品川区 東大井5丁目18-1
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