熱伝導性は、以前はパソコンなど一部の機器での放熱技術を実現する為の技術でした。しかし近年は、自動車・情報端末・照明のような電気・電子機器での需要が高まり、精密化、コンパクト化に対応できる熱伝導性樹脂の設計・開発が急務となっています。
本コースでは、フィラー添加を中心に、成形加工性とのバランスを保ちながら、現在またこれから求められる熱伝導性を付与・向上させる技術について最新のトピックを交えながら解説いたします。
第1部 熱伝導の基礎及び高分子の熱伝導性
(2012年10月11日 10:30〜12:00)
熱伝導理論を基礎から詳述し、高分子における熱伝導の特徴を解説する。次いで、高分子において高熱伝導を達成するには、どのようなアプローチが必要かを述べる。また、高分子の熱伝導率の理論限界についても詳述する。
- 熱伝導の基礎
- 熱伝導率の定義 (Fourierの法則)
- 熱伝導率と物質定数との関係 (Debyeの式)
- 電子による熱伝導とフォノンによる熱伝導
- 様々の物質の熱伝導率
- 熱伝導率を決める因子、比熱、粒子速度、平均自由行程
- 平均自由行程を決める因子、静的散乱と動的散乱
- 静的散乱
- 動的散乱、Umklap過程
- 振動の非調和性とフォノンフォノン散乱
- 電子による熱伝導、Wiedemann-Franzの法則
- 高分子の熱伝導
- 高分子の熱伝導の特徴
- 高分子の高次構造と熱伝導率
- 結晶性と熱電導率
- 分子配向と熱伝導率
- 高熱伝導高分子
- 高分子の高熱伝導化のメカニズム
- 絶縁性と高熱伝導の両立
- 動的散乱および静的散乱の抑制
- 高分子の熱伝導率の理論限界
―ポリエチレン結晶の熱伝導率の理論計算―
第2部 窒化アルミニウムの熱伝導フィラーとしての技術動向
(2012年10月11日 12:40〜13:50)
窒化アルミニウム (AlN) は高い熱伝導性と絶縁性を併せ持つ材料である。近年、電子部品の高集積化・高密度化に伴い、放熱材料に対する要求は高まってきており、優れた特性を持つ窒化アルミニウムに対する市場の期待も大きい。
本講演では窒化アルミニウムの特徴と、AlNフィラー技術開発動向について発表し議論する。
- はじめに
- AlNの性質
- AlN粉末の製法と特徴
- 製造方法
- 粉末特性
- 高熱伝導性AlNフィラーの開発
- AlNフィラーの表面処理技術
- 耐水処理技術
- まとめ
第3部 アルミナ・窒化ホウ素の熱伝導フィラーとしての技術動向
(2012年10月11日 14:00〜15:10)
熱伝導理論を基礎から詳述し、高分子における熱伝導の特徴を解説する。次いで、高分子において高熱伝導を達成するには、どのようなアプローチが必要かを述べる。
また、高分子の熱伝導率の理論限界についても詳述する。
- はじめに
- 放熱材料及びフィラーについて
- 放熱材料及びフィラーについて
- フィラー充填の考え方
- アルミナ
- 特性
- 高熱伝導化のための粒子設計
- 窒化ホウ素
- 特性
- 高熱伝導化のための粒子設計
- フィラー複合化による高熱伝導化
- まとめ
第4部 カーボンナノチューブの分散・ネットワーク構造形成技術とポリマーの熱伝導率向上への応用
(2012年10月11日 15:20〜16:30)
近年、カーボンナノチューブ (CNT) を用いたポリマー系複合材料の力学特性・機能性を格段に向上させる微視構造設計手法として、ネットワーク構造形成技術が注目されている。
本セミナーでは、CNTの分散・ネットワーク構造形成技術とCNTを用いたポリマー複合材料の熱伝導率向上のための微視構造設計・特性評価技術について概説する。
- カーボンナノチューブ (CNT) の特徴
- 分類
- 特性
- 合成方法
- 安全性
- CNTのポリマーへの分散技術
- 分散方法 (ボールミル、ロールミル、超音波分散)
- 表面改質方法 (酸処理、紫外線/オゾン処理)
- 分散性評価
- 熱伝導率向上のための微視構造設計・特性評価技術
- 従来フィラーを用いた複合材料の熱伝導率予測式
- CNTを用いた複合材料の熱伝導率予測式
- 国内外におけるCNTネットワーク構造形成技術 (強磁場印加、化学処理、テンプレート法)
- フィラーのハイブリッド化による高熱伝導化技術
- コンピュータ解析を活用した高熱伝導性ポリマー系複合材料の開発
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対象セミナー
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