本セミナーでは、ヒトの触覚認識メカニズムから、心理物理実験の方法、触感センサの作り方と使い方、触感ディスプレイの作り方、使い方までをわかりやすく解説いたします。
ヒトが触れる製品は,自動車,家電製品,化粧品,生活用品,家具,衣類,食品など多岐に渡る。これらの製品の付加価値向上のためには触覚・触感の研究が不可欠である。また,ロボティクスやバーチャルリアリティーの分野でも,触覚伝送の必要性が高まっている。このため,本講習会では,ヒトの触覚認識特性と,これをセンシングしたりヒトに呈示する技術について解説を行う。 まず,ヒトの皮膚と触覚の構造と機能について説明する。次に,産業界における,触覚が利用される局面について述べる。さらに,触覚センサに関する従来の研究および講演者らの研究について述べる。すなわち,ヒトの触感認識メカニズムの多変量解析結果,ニューラルネットワークを用いた触感認識モデル,ヒトに学ぶ触感センサや局所滑りセンサの構造と機能について述べる。 次に,触感の物理特性、心理特性の調査と多変量解析に基づく触感の解析結果について述べる。すなわち、「つるつる」「ざらさら」「すべすべ」はどう違うのか、「ねばねば」「べたべた」「しっとり」はどう違うのか、「心地よさ」「安心感」「爽快感」はどのような表面物性や触感に関連しているのか、などについての解析結果について述べる。 最後に、触感ディスプレイによる触覚の呈示技術について述べる。これらの結果、ヒトの触感についての基本的な理解と、製品開発に触感解析を生かすための指針を得ることができると考えられる。