高分子材料の力学物性の調整において化学架橋の導入は重要であり、1843年のC. Goodyearらによるゴムの加硫を起点に広く行われてきた。近年、高分子材料科学と超分子科学の融合により、可逆性架橋と可動性架橋に基づく新たな機能付与が行われてきた。可逆性架橋は架橋点が一度解裂しても、再度結合する特徴がある。これが分子認識に基づいた接着性やマイクロクラックを修復するという自己修復機能に繋がる。一方、可動性の架橋点は、架橋点自身が崩壊することは無いが、永久架橋点のように固定化されていないため、応力分散性に基づく強靭性を示す。我々は、マクロ環状分子であるシクロデキストリンとゲスト分子の包接錯体を用いて、可逆性架橋材料または可動性架橋材料を作製し、超分子の架橋形式、架橋点の会合定数や緩和時間と力学特性の関係を調べ、機能創成に繋げてきた。更にセルロース等のフィラーや結晶と組み合わせたさらなる機能向上も実現した。本セミナーでは、これらの最近の開発・研究状況について報告する。
- 序論
- 高分子とは?
- 化学架橋からなる高分子材料
- 可逆性架橋からなる高分子材料
- 可動性架橋からなる高分子材料
- 自己修復性高分子材料の始まり
- マイクロカプセルを用いた自己修復性材料
- Diels-Alder反応を用いた自己修復性材料
- 化学架橋を用いた機能設計
- 化学架橋を用いた力学物性の調整
- 架橋間の絡み合いを利用した強靭性材料
- 可逆性架橋を用いた機能設計
- 可逆性架橋材料の速度論・熱力学と機能の相関
- 非共有結合を用いた機能設計
- 動的共有結合を用いた機能設計
- 複数の相互作用を利用した機能設計
- 可動性架橋を用いた機能設計
- 可動性材料の作製アプローチ
- 可動性架橋を用いた機能設計
- 複数の相互作用を利用した機能設計
- 強靭性・自己修復性材料の市場動向・開発動向
- 強靭性・自己修復性材料の市場動向
- 強靭性・自己修復性材料の開発動向
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