本セミナーでは、エネルギー変換効率を決定する各種要因と課題・改善策、各種材料系の特徴と課題について解説いたします。
また、最近注目される液晶有機半導体とそれを用いた高効率素子の展望についても紹介いたします。
2011年の東日本大震災による福島第一原発の事故以来、再生可能エネルギーの重要性が再認識され、さらに、再生可能エネルギー特別措置法の成立により、太陽光発電などの普及が加速されることは必至である。しかしながら、これらの再生可能エネルギーは発電コストが高く、真の普及にあたっての最大の課題は、発電コストをいかに抑えるかである。 有機薄膜太陽電池は、大型真空装置を必要としないroll-to-rollプロセスによる高速大量生産と、軽量・フレキシブルな太陽電池の実現の可能性から、発電コストの飛躍的な低減が期待できる。また、最近になって10%を越える変換効率も報告され、ひときわ注目されるようになってきた。 本セミナーでは、シリコンをはじめ各種太陽電池の開発の歴史、発電原理の違いを概観することにより、有機薄膜太陽電池の特徴と意義を解説する。また、エネルギー変換効率を決定する各種要因の物理的意味と課題・改善策について述べ、低分子・高分子系などの各種材料系の特徴と課題について解説する。特に、実用化の決め手となる安定・低コストを実現するために不可欠な塗布型低分子系材料として、その自己組織性が最近注目され単結晶並みの高移動度を示す液晶有機半導体とそれを用いた高効率素子の展望について紹介する。