接着接合は部品組立における重要な要素技術であるが、長期耐久性を正確に予測する方法は確立されておらず、接着接合を製品に適用する際、「何年もつか」ということが常に議論される。「実際に使ってみなければわからない」というあいまいな状態で接着接合を採用するわけにはいかない。接着接合物の安全性、信頼性を保障できるデータ的な「裏付け」としっかりとしたストーリーが必要である。
「実践編」では、接着接合物の長期信頼性保証のために必要な、劣化のメカニズムと評価のポイント、長期接着耐久性の寿命予測法、ばらつきや劣化、内部破壊などを考慮して簡易に必要な初期の平均強度を見積もる設計法 (Cv接着設計法) 、最適設計を行うための耐用年数経過後の安全率の尤度の定量化法などを、講師がこれまでに行ってきた豊富なデータに基づいてわかりやすく解説するとともに、信頼性、耐久性、寿命、安全率に関連するトラブル事例を説明します。 テキストの他に、解説図書として「高信頼性を引き出す接着設計技術 (原賀康介著:日刊工業新聞社刊) 」を配布します。
- 接着劣化のメカニズムと評価のポイント
- 接着接合部における劣化箇所
- 代表的劣化要因
- 接着劣化のメカニズム
- 熱劣化における3つの劣化モード
- 水分劣化における4つの劣化モード
- 光劣化における3つの劣化モード
- 継続荷重によるクリープ劣化、粘弾性特性
- ヒートサイクル、ヒートショック劣化の要因
- 耐久性評価における注意点 (試験片と製品での差異)
- 水分劣化における接着部の形状・寸法の影響
- S/Lパラメーターの影響
- Fickの拡散の法則と接着部の水分濃度の変化
- 細長い接着部の幅と劣化速度の関係 (幅の比の二乗則)
- 水分濃度と接着強度の関係
- 吸水後の乾燥による接着強度の回復性
- 劣化モードによる致命的損傷と非致命的損傷
- 致命的損傷だけの評価方法
- 応力と水分による複合劣化
- 冷熱サイクル試験における注意点
- 疲労試験結果に影響する因子
- 耐久性評価試験の種類と加速試験条件の決め方
- 接着耐久性の長期寿命予測法
- 寿命予測を行う時の鉄則
- 長期熱劣化の予測法
- アレニウス法による予測法
- ガラス転移温度と予測結果の尤度の関係
- 長期水分劣化の予測法
- アレニウス法による予測法と結果の尤度
- Fickの拡散の法則を用いた水分濃度分布からの推定法
- 長期屋外暴露劣化の予測法
- アレニウス法と乾燥可逆性からの推定法、実験値との比較
- クリープ耐久性の予測法
- 応力負荷の簡易治具
- 温度/時間換算による推定法
- Larson-Millerのマスターカーブ法による推定法
- 疲労耐久性の予測法
- 接着部の初期の必要平均破断強度、必要Cv値を簡易に見積もる『Cv接着設計法』
- 『Cv接着設計法』とは
- 『Cv接着設計法』の構成要素と考え方
- 接着部に加わる力と発生不良率
- 許容不良率、工程能力指数、信頼性指数
- 変動係数Cv と ばらつき係数d
- 劣化による接着強度の低下とばらつきの増大
- 内部破壊係数
- 接着強度の温度依存性
- 安全率
- 設計基準強度と設計許容強度の算出式
- 初期に必要な平均接着強度・面積と変動係数の見積り例
受講者にはCv接着設計法計算アプリを差し上げます。
- 最適設計のための『耐用年数経過後の安全率の尤度の定量化法』
- この評価法の適用の目的と前提条件
- 接着強度の経年変化の概念と実効接着強度、最大負荷力の関係
- 耐用年数経過後の安全率の尤度の算出法
- 評価のプロセス
- クリープや疲労などの応力劣化を伴う場合の算出式
- 一時的な静荷重だけが負荷される場合の算出式
- 複合劣化係数の求め方
- 耐用年数経過後のばらつき係数の求め方
- 耐用年数経過後の安全率の尤度の算出事例
- 接着部の要求条件と評価条件への落とし込み
- 加速劣化試験条件の最適化の例
- ヒートサイクル
- 熱劣化
- 安全率の尤度の再配分の例
- 信頼度の向上 (許容不良率の低減)
- 作業性の改善
- 信頼性、耐久性、寿命、安全率に関係するトラブル事例
- ばらつきを考慮せずに平均値で設計した
- トラブル品での発生不良率の見積り
- 水分の乾燥による接着強度の回復を考慮しなかった
- クリープが加わっている状態に気がつかなかった
- その他
- 個別質問
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