接着不良を未然に防ぎ信頼性の高い接着を行うための必須知識と強度・耐久性の評価・設計法 (2日間)

再開催を依頼する / 関連するセミナー・出版物を探す
オンライン 開催

本セミナーでは、接着のメカニズム、接着のポイント、トラブル防止策、接着剤の特徴・選び方、接着劣化のメカニズム、接着耐久性試験、寿命予測法、安全率の定量化法、信頼性・耐久性・寿命・安全率に関するトラブルについて、豊富な事例・具体的ノウハウを交えて解説いたします。

日時

開催予定

プログラム

このセミナーは、一貫して「接着不良の未然防止と接着信頼性の向上」を目的としてきた「接着剤を使う立場」からの他に類のないセミナーで、モノづくりに接着を使用する機器製造企業の技術者は勿論、接着剤メーカーの技術者にも好評を博しています。人工衛星、車両・インフラ・産業用機器、精密機器から家電品まで大手電機メーカーで高信頼性接着を実現してきた講師が、単なる「接着の知識」の説明ではなく、「高信頼性接着を実現するための考え方と具体的手法」を、豊富な経験と実績によって構造・機能設計、生産技術、材料面から接着工学的に論理的にわかりやすく説明するものです。  本セミナーでは、接着剤を使う立場からの疑問点や課題、解決策を論理的に体系付けてわかりやすく説明するので、「単なる基礎知識の習得」ではなく、「高信頼性接着を達成するための具体的手法と考え方」を習得することができます。これから接着に携わる初心者から、品質・機能を追求されるベテラン技術者まで、それぞれのレベル、目的にマッチした「考え方」を習得できます。  なお、必要な知識は、接着材料関係企業と部品・機器組立企業では大きく異なります。本セミナーでは、部品・機器組立てに必要な知識と実践的な技術に焦点を当てて、必要にして十分な講義を行ないます。

1日目 基本編

 第1章では、信頼性の基礎と開発時に最低限達成しなければならない高信頼性接着の目標値を明確にわかりやすく説明します。第2章では、接着のメカニズムをわかりやすく説明し、その原理がどのように信頼性に結びついているのかの考え方を示すと共に、どうすれば接着特性や信頼性を向上できるかまで説明します。第3章では、さまざまな接着不良を引き起こす内部応力の種類と発生メカニズムと低減策を、第4章では、知らないためにトラブルに至ってしまう設計・生産段階における接着の勘どころとトラブル対策を説明します。第5章では、接着剤の選定に必要な接着剤の分類方法と、カタログに書かれていない各種接着剤の使用上の注意点を説明します。  テキストの他に、解説図書として「トコトンやさしい接着の本 新版 (原賀康介著:日刊工業新聞社刊) 」を配布します。

  1. 高信頼性・高品質接着の作り込みの必須条件と目標値
    1. 高信頼性・高品質接着とは
    2. 開発段階での作り込みの目標値
      1. 凝集破壊率をどのくらいにすべきか
      2. ばらつき (変動係数) をどの程度に抑えるべきか
      3. 接着強度を破断強度で考えず内部破壊で考える
      4. 接着強度の分布の最適な形は何か
  2. 接着のメカニズムと目標値達成のための方法
    1. 接着の過程
    2. 接着のメカニズム
      1. 分子間力
      2. 必要な分子間の距離をどう確保するか
    3. 分子間力を左右する表面張力
      1. 各種材料の接着のし易さと表面張力
      2. 必要な表面張力はどのくらいか、測定法は
    4. 表面張力を高くする表面改質
      1. 目的
      2. 表面改質法
      3. 改質メカニズム
      4. 改質事例
      5. 改質時の湿度の影響
      6. 改質後の接着可能時間
    5. プライマー、カップリング剤処理の効果と注意点
    6. 表面粗面化の効果とマイナス効果
    7. 接着の脆弱箇所 (アキレス腱) はどこか
  3. 接着の機能・特性を損なう「内部応力」の発生メカニズムと影響諸因子、低減法
    1. 内部応力で生じる不具合
    2. 内部応力の種類
      1. 硬化収縮応力 (接着剤の硬化時に発生)
      2. 熱収縮応力 (加熱硬化後の冷却時に発生)
      3. 熱応力 (使用中の温度変化により発生)
      4. 吸水膨潤応力
        1. 接着剤の吸水膨潤応力
        2. 被着材の吸水膨潤応力
      5. 被着材の変形による応力
        1. 被着材料内部の温度むらによる変形応力
        2. 接着時の加圧によるスプリングバック力
    3. 接着剤の粘弾性特性と応力緩和
    4. 異種材接着における内部応力による不具合
      1. 各種の変形のモード
      2. 嵌合接着における不具合
    5. 内部応力に影響するその他の因子
      1. 接着部の構造
      2. 接着剤の塗布量、塗布位置
      3. 接着剤の物性、部品の厚さ (剛性)
      4. 接着剤の短時間硬化、後硬化
    6. 内部応力の評価法
    7. 接着層の内部応力の低減策
  4. 接着剤の選定、最適な設計・施工に必要なポイントとトラブル防止策
    1. 必要な接着強度の種類
    2. 接着剤、粘着剤の硬さ、伸びと各種強度の関係
    3. カタログの落とし穴
    4. 粘弾性特性
    5. ガラス転移温度Tgと接着強度
    6. 接着剤の粘度と揺変性
    7. 接着層の厚さと各種強度の関係
    8. 接着層の厚さ基準での設計・施工
    9. 接着剤の硬さと応力集中
    10. クリープを防止する構造
    11. 接着剤のはみ出しの影響
    12. 塗装に適した材料が接着にも適するとは限らない
    13. 気泡を巻込まない接着剤の塗布方法
    14. 最適な加圧力とやってはいけない加圧の注意点
  5. 接着剤の種類と特徴、使用上の注意点と選定方法
    1. 接着剤の分類法
    2. 構造用接着剤の種類と特徴、使用上の注意点
      1. エポキシ系接着剤
      2. ウレタン系接着剤
      3. アクリル系接着剤 (SGA)
    3. エンジニアリング接着剤の種類と特徴、使用上の注意点
      1. 嫌気性接着剤
      2. 光硬化型接着剤
      3. 瞬間接着剤
    4. 柔軟性接着剤の種類と特徴、使用上の注意点
      1. シリコーン系接着剤
      2. 変成シリコーン系接着剤
      3. 両面テープ
    5. 接着剤の選び方
      1. 欠点からの消去法による選定方法
      2. 作業・管理のポイントからの絞り込み
  6. 個別質問
    • 17:30頃から1時間程度

2日目 実践編

 接着接合は部品組立における重要な要素技術であるが、長期耐久性を正確に予測する方法は確立されておらず、接着接合を製品に適用する際、「何年もつか」ということが常に議論される。「実際に使ってみなければわからない」というあいまいな状態で接着接合を採用するわけにはいかない。接着接合物の安全性、信頼性を保障できるデータ的な「裏付け」としっかりとしたストーリーが必要である。  「実践編」では、接着接合物の長期信頼性保証のために必要な、劣化のメカニズムと評価のポイント、長期接着耐久性の寿命予測法、ばらつきや劣化、内部破壊などを考慮して簡易に必要な初期の平均強度を見積もる設計法 (Cv接着設計法) 、最適設計を行うための耐用年数経過後の安全率の尤度の定量化法などを、講師がこれまでに行ってきた豊富なデータに基づいてわかりやすく解説するとともに、信頼性、耐久性、寿命、安全率に関連するトラブル事例を説明します。 テキストの他に、解説図書として「高信頼性を引き出す接着設計技術 (原賀康介著:日刊工業新聞社刊) 」を配布します。

  1. 接着劣化のメカニズムと評価のポイント
    1. 接着接合部における劣化箇所
    2. 代表的劣化要因
    3. 接着劣化のメカニズム
      1. 熱劣化における3つの劣化モード
      2. 水分劣化における4つの劣化モード
      3. 光劣化における3つの劣化モード
      4. 継続荷重によるクリープ劣化、粘弾性特性
      5. ヒートサイクル、ヒートショック劣化の要因
    4. 耐久性評価における注意点 (試験片と製品での差異)
      1. 水分劣化における接着部の形状・寸法の影響
        1. S/Lパラメーターの影響
        2. Fickの拡散の法則と接着部の水分濃度の変化
        3. 細長い接着部の幅と劣化速度の関係 (幅の比の二乗則)
        4. 水分濃度と接着強度の関係
      2. 吸水後の乾燥による接着強度の回復性
        1. 劣化モードによる致命的損傷と非致命的損傷
        2. 致命的損傷だけの評価方法
      3. 応力と水分による複合劣化
      4. 冷熱サイクル試験における注意点
      5. 疲労試験結果に影響する因子
    5. 耐久性評価試験の種類と加速試験条件の決め方
  2. 接着耐久性の長期寿命予測法
    1. 寿命予測を行う時の鉄則
    2. 長期熱劣化の予測法
      1. アレニウス法による予測法
      2. ガラス転移温度と予測結果の尤度の関係
    3. 長期水分劣化の予測法
      1. アレニウス法による予測法と結果の尤度
      2. Fickの拡散の法則を用いた水分濃度分布からの推定法
    4. 長期屋外暴露劣化の予測法
      1. アレニウス法と乾燥可逆性からの推定法、実験値との比較
    5. クリープ耐久性の予測法
      1. 応力負荷の簡易治具
      2. 温度/時間換算による推定法
      3. Larson-Millerのマスターカーブ法による推定法
    6. 疲労耐久性の予測法
  3. 接着部の初期の必要平均破断強度、必要Cv値を簡易に見積もる『Cv接着設計法』
    1. 『Cv接着設計法』とは
    2. 『Cv接着設計法』の構成要素と考え方
      1. 接着部に加わる力と発生不良率
      2. 許容不良率、工程能力指数、信頼性指数
      3. 変動係数Cv と ばらつき係数d
      4. 劣化による接着強度の低下とばらつきの増大
      5. 内部破壊係数
      6. 接着強度の温度依存性
      7. 安全率
    3. 設計基準強度と設計許容強度の算出式
    4. 初期に必要な平均接着強度・面積と変動係数の見積り例
      受講者にはCv接着設計法計算アプリを差し上げます。
  4. 最適設計のための『耐用年数経過後の安全率の尤度の定量化法』
    1. この評価法の適用の目的と前提条件
    2. 接着強度の経年変化の概念と実効接着強度、最大負荷力の関係
    3. 耐用年数経過後の安全率の尤度の算出法
      1. 評価のプロセス
      2. クリープや疲労などの応力劣化を伴う場合の算出式
      3. 一時的な静荷重だけが負荷される場合の算出式
      4. 複合劣化係数の求め方
      5. 耐用年数経過後のばらつき係数の求め方
    4. 耐用年数経過後の安全率の尤度の算出事例
      1. 接着部の要求条件と評価条件への落とし込み
      2. 加速劣化試験条件の最適化の例
        1. ヒートサイクル
        2. 熱劣化
    5. 安全率の尤度の再配分の例
      1. 信頼度の向上 (許容不良率の低減)
      2. 作業性の改善
  5. 信頼性、耐久性、寿命、安全率に関係するトラブル事例
    1. ばらつきを考慮せずに平均値で設計した
    2. トラブル品での発生不良率の見積り
    3. 水分の乾燥による接着強度の回復を考慮しなかった
    4. クリープが加わっている状態に気がつかなかった
    5. その他
  6. 個別質問
    • 17:30頃から1時間程度

受講料

複数名同時申込割引について

複数名で同時に申込いただいた場合、1名様につき 65,000円(税別) / 71,500円(税込) で受講いただけます。

テキスト送付に係る配送料

ライブ配信・アーカイブ配信受講の場合、別途テキストの送付先1件につき、配送料 1,100円(税別) / 1,210円(税込) を頂戴します。

ライブ配信対応セミナー / アーカイブ配信対応セミナー

ライブ配信セミナーをご希望の場合

アーカイブ配信セミナーをご希望の場合