医薬品や医療機器の開発において、生物統計学の重要性はいまさら説明するまでもありません。臨床試験の計画から報告に至るまで、あらゆる場面で統計手法が使われるからです。しかし、統計学は、専門でない人にとっては敷居が高く、多くの人が統計は難しい!と感じているのではないでしょうか。十数年前までは、平均値や標準偏差、t検定等の初等的な統計手法を知っていれば、なんとかやっていけましたが、近年、臨床試験で使用される統計手法は多様化しています。統計の非専門家もある程度の統計的知識がないと臨床試験に携わるのが難しい時代です。
本講義では、製薬企業、CRO、ARO等における統計の専門家でない臨床開発、メディカルライター、薬事、市販後調査、安全管理、モニター等の担当者を対象に、医薬品・医療機器の開発における統計手法を網羅的に解説し、必要最低限の統計的知識の習得を目標とします。講義では数式を使わず、平易な用語を用い、統計初学者にとってもわかりやすい内容になっています。
本講義の第1部は臨床試験計画編とし、臨床試験計画に関する統計的知識を提供します。特に症例数設定に注目し、症例数設定に必要な情報や考え方、根拠について説明します。
第2部はデータ解析編とし、申請資料の作成や理解のために必要となるデータの見方や代表的な解析手法を紹介し、解析手法とエンドポイントや症例数設定との関係を講義します。
第3部は結果報告編とし、統計的視点から、総括報告書やCTDを作成する上での注意点を概説します。
はじめに
- 臨床試験計画編
- ランダム化と盲検化
- エンドポイントの設定
- 仮説の設定
- 非劣性試験における非劣性マージン
- 症例数設定の原理とその根拠
- データ解析と症例数設定の関係
- 中間解析の計画
- データ解析編
- データと要約
- 推定と検定の概念
- 点推定と区間推定
- 仮説検定 (統計的有意差や臨床的有意差の違い)
- 検定の多重性
- 交絡
- 代表的な統計解析手法の紹介
- 結果報告編
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