熱流体は、さまざまな機械で工学的に使われています。例えば、自動車エンジンやジェットエンジンの中の燃焼流れもそうですし、最近の多種の電子機器も熱くなりますのでその冷却流れの設計も関連します。本講義でも取り上げる金属加工も金属を高温で溶かすことから熱流体になります。
また、工学的な応用だけでなく気象などの自然現象も同じ原理で現象が起こっています。これらの動きを記述している方程式はNavier – Stokes方程式ですが、この方程式は解析的に (手では) およそ解けません。また、空気などの流れはそもそもそのままでは目には見えません。したがって、流れの様子を把握するには高度な実験を用いるか、または数値シミュレーションを行うことが一般的です。数値シミュレーションは多くの現象を解明してきましたが、その原理を理解しないままやみくもに実施しても正しくない解を導いてしまうだけです。
本講義では、物理現象の基礎的理解を行い、方程式の性質との対応を確実なものにします。その上で、数値解析の方法の基礎およびその注意点について理解します。最後に、最近の複雑な熱流体の応用例として燃焼流れと金属3Dプリンティングを例に熱流体解析の有用性を概観します。
- 熱流体の基礎現象
- 身近な熱や流体の現象
- 運動の記述法
- 粘性の効果
- 高速流
- 熱や物質の拡散
- 熱流体の数値解析の基礎
- 離散化とは
- 初期条件・境界条件の設定
- 計算例
- 流体の非線形性と解析
- 乱流への展開
- レイノルズ数と乱流
- 乱流へのアプローチ
- 乱流場でのより複雑な現象
- コンピュータの発達
- いくつかの解析例と将来展望
- エンジン内の噴霧燃焼
- 金属3Dプリンティングでの加工プロセス
- 数値解析と実験それぞれのアプローチ
- 分野融合と将来展望
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