フィルム製膜における延伸・配向技術とその解析

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本セミナーでは、フィルム延伸中に起こる現象を知り、フィルムの物性設計、目指す物性を得る延伸条件を考えるための基本センスを身に着けていただくことを目指しています。

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開催予定

プログラム

第1部 高分子延伸プロセスにおける分子配向形成メカニズムと結晶化挙動

(2024年8月20日 10:30〜12:00)

 高分子の延伸工程は暖めて引き伸ばすだけの単純な工程だが、その実態はかなり複雑である。延伸によって分子鎖が配向し、さらに分子配向が配向結晶化を引き起こす結果、配向した結晶部と非晶部が繰り返されるNano-compositeとも呼ばれる構造が形成される。この構造によって、強く、それでいてしなやかに曲がるという繊維やフィルム特有の性質が得られる。また延伸によって素材の性質が大きく変化し、厚み方向の拘束も無いことから、高次構造はごく短時間で破壊、再構成され、この過程で基本的な物性が決まることが多い。  この講義では、フィルム延伸中に起こるこれらの現象の概要を知り、延伸条件によって繊維・フィルム等の物性を設計する上で必要な基本センスを身に着けていただくことを目指す。  繊維・フィルムの諸物性は構造で決まり、構造は延伸条件で決まる。この関係性を理解することで、的確な延伸条件設定によって物性が設計できる様になる。

  1. 延伸装置と延伸条件
  2. 延伸工程で加わる力と熱
  3. 延伸の基礎方程式
  4. 分子配向の3要素
    1. 配向形態
    2. 配向度
    3. 配向要素
  5. 延伸による分子配向
  6. 配向結晶化

第2部 フィルム延伸技術とフィルムシート成形における品質安定化

(2024年8月20日 13:00〜14:30)

 光学フィルムをはじめとするフィルムシート成形において、厳しくなる要求品質を満たすためには、各装置の特性を理解し最適な操作が必要とされる。本講演では、各成形装置による高品質化への技術と対策を紹介する。

  1. フィルムシート成形技術の最近の動向
  2. フィルムシート成形装置の概要
    1. 押出機
    2. ダイ
    3. キャスティング装置
    4. 延伸機
    5. 巻取機
  3. 押出機の未溶融や熱劣化防止
  4. ダイの不良・不安定現象の対策
  5. キャスティングのネックイン,シート厚み解析
  6. 延伸工程のフィルム安定化技術

第3部 延伸プロセスにおける分子配向過程の可視化、解析技術

(2024年8月20日 14:45〜16:15)

 本講座では、高分子材料の延伸配向挙動を観測することで、分子スケールの構造とマクロ物性の相関を解明するための分析技術について解説する。延伸時の高分子の結晶部と非晶部の配向性の違いや、フィラーを含む高分子複合材料の異種界面の構造や状態が配向挙動にあたえる影響を分析可能な手法を紹介する。本分析技術により得られる知見は、高機能材料の設計指針構築への活用が期待できる。

  1. 分光法とインフォマティクスを組み合わせた高分子材料の延伸配向過程の解析技術開発
  2. 近赤外分光法と二次元相関解析を組み合わせたレオ・オプティカル近赤外分光法
    1. レオ・オプティカル近赤外分光法
    2. ポリプロピレンの延伸配向挙動のリアルタイムモニタリング
    3. 高分子複合材料の延伸配向挙動と界面状態の相関
  3. レオ・オプティカル赤外分光イメージングによる延伸挙動の可視化
    1. 顕微赤外分光法
    2. 二次元相関マッピングによるスペクトル解析
    3. 球状シリカ/ポリプロピレン複合材料の延伸挙動の可視化
    4. ガラス繊維強化樹脂の延伸配向挙動と物性の相関

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