フッ素フリー撥水・撥油表面の開発とその評価

再開催を依頼する / 関連するセミナー・出版物を探す
オンライン 開催

本セミナーでは、フッ素を使わない撥水撥油表面の実現手法について解説いたします。

日時

開催予定

プログラム

第1部 有機フッ素化合物に依存しない撥水・撥油処理技術:液滴の滑落性を向上させるための表面設計指針

(2024年7月30日 10:15〜11:45)

 本セミナーでは、まず最初に、固体表面のぬれ性をどのように評価し、いかに制御するかについての基礎知識、応用・実用上ポイントとなる動的ぬれ性の修得を目指します。次いで、各種機能性皮膜を利用した最新の撥水・撥油処理技術について、国内外の最新の研究開発動向を紹介しながら、実例 (単分子膜、ゲル、有機-無機ハイブリッド皮膜等) を挙げて分かりやすく詳細に解説します。また、PFOA・PFOS等の長鎖有機フッ素化合物 (PFAS) への法規制対応として、脱フッ素・フッ素代替技術が今後のポイントとなります。こちらについても随所で取り扱います。

  1. ぬれの基礎
    1. Youngの式
    2. Wenzelの式 (凹凸表面におけるぬれ)
    3. Cassieの式 (複合表面におけるぬれ)
    4. 3相接触線の重要性
    5. 静的接触角とぬれ性との関係
  2. 動的ぬれ性の考え方と測定・制御方法
    1. 動的ぬれ性とは?
    2. 動的ぬれ性制御の重要性
    3. 動的接触角の定義と近年の役割
    4. 動的接触角の測定方法
    5. 接触角ヒステリシスの定義と発生原因
    6. 自然界における高/低接触角ヒステリシス表面
    7. 接触角ヒステリシス制御に関する過去の研究
    8. 接触角ヒステリシスを抑制するためのコンセプト
    9. 接触角ヒステリシスと滑落性の関係
  3. (超) 撥水・撥油処理の最新研究開発動向
    1. (超) 撥水・撥油性を得るための指針
    2. これまでの (超) 撥水・撥油性表面の問題点と課題
    3. 最近の (超) 撥水・撥油性の定義
    4. (超) 撥水・撥油処理の最新研究開発動向
  4. 有機フッ素化合物に依存しない撥水・撥油処理技術 〜PFAS (PFOS/PFOA) 規制への対応として〜
    1. 液滴の滑落性を向上させるための表面設計指針
    2. Liquid-like表面とは?
    3. Liquid-like表面の作製手法とその特徴
      1. 単分子膜
      2. ポリマー皮膜
      3. 有機-無機ハイブリッド皮膜
  5. 最近のトピックス,まとめ

第2部 最先端フッ素フリー撥水・撥油塗料の開発とその機能紹介

(2024年7月30日 12:40〜14:00)

 撥水・撥油表面の開発は液体の付着ロスを無くすために有用なアプローチであるが、その性能向上のためにフッ素材料を利用することが多い。特に、撥油性表面の開発には多くの場合フッ素材料が必要である。近年のPFAS (パーフルオロアルキル化合物) の毒性懸念に伴い、フッ素フリーで高性能の撥水・撥油表面を開発する動きが高まっている。  本講演では、近年の撥水撥油性の開発手法を解説し、我々が取り組む先端の撥水・撥油塗料の開発アプローチとその機能を紹介する。

  1. 濡れ現象と表面構造
    1. 表面張力と毛管力
    2. Young式と接触角
    3. Cassie ModelとWenzel Model
  2. 撥水・撥油表面の開発
    1. 超撥水・超撥油表面
    2. 滑液表面
    3. 潤滑液含浸表面 SLIPS
  3. フッ素フリー撥水・撥油塗料の開発
    1. 滑水性表面の1液塗料化
    2. 滑油性表面の1液塗料化
    3. 水素結合を利用したロバスト滑水性表面の開発
  4. まとめ・展望

第3部 ナノ構造制御によるフッ素フリー撥水撥油材料の開発

(2024年7月30日 14:10〜15:30)

 2023年1月に欧州化学品庁 (ECHA) に提出されたPFAS規制の概要について概説する。撥水撥油素材の代表的な例とその機能について概説する。KRIが開発したナノ相分離構造導入によるフッ素フリー撥水撥油・高滑落性材料の考え方や特性の紹介を行う。

  1. フッ素含有材料の置かれた状況
  2. フッ素フリー材料、代替材料の動向
    1. 一般的な撥水撥油材料について
      • 物理的因子
      • 化学的因子
      • フッ素系
      • シリコーン系
    2. KRIでのフッ素フリー素材への取り組み
    3. ハイブリッド系撥水撥油材料
      1. 撥水撥油コート膜の形成と特性
        • 撥水撥油性と滑落特性
        • ナノ相分離構造
        • 光学特性
        • プライマリーフリー
      2. フィルム形成と特性
        • 機械特性、耐熱性
        • ナノ相分離フィルムの物性のまとめ
        • 可撓性発現のメカニズム
        • 機械物性の違いによる相分離構造の差異
    4. シリコーン系コート材の撥水撥油材料
    5. 撥油系コート材
  3. まとめと今後の展望

第4部 生体模倣技術による非フッ素超撥水コーティングの形成とその評価

(2024年7月30日 15:40〜17:00)

 耐候性や耐熱性などの化学的安定性、弾き性や非粘着性などの良好な表面・界面特性から有機フッ素系材料は幅広い分野で使われているが、安定性が仇となり環境中への長期的な循環が懸念され、一部製品の製造終了が公表されている。  本講座では弊社の非フッ素材料を用いた撥水コート (弾き性表面) 技術に関する取り組みを紹介する。撥水や超撥水というと「フッ素が必要」と思われがちだがフッ素を使わずとも撥水表面をつくることは可能である。またフッ素を使わないことで得られる特性もある。これらの特性をもつ滑落コートを紹介する。

  1. 超撥水コーティングの実用化に向けた取り組み
    1. 食品を弾く
      • 身離れ性
      • 汚れ防止
    2. あめ・つちを弾く
      • 身離れ性
      • 汚れ防止
      • 安全
  2. SNTが取り組む超撥水構造と評価
    1. 表面の構造・原理
    2. 接触角と転落角
    3. 表面における固体と液体のエネルギーのつり合い
  3. 凹凸構造の形成へのアプローチ
    1. コーティングによるアプローチ (蓮の葉)
    2. 塗布対象物の凹凸構造を活かすアプローチ (鳥の羽根)
    3. 成形圧縮で凹凸構造をつくるアプローチ (昆虫の眼)
  4. 環境対応に向けた弾き性コーティング
    1. 水系超撥水 – 水を弾く材料なのに水を含むコーティング剤
    2. 非フッ素材料による油滑落表面の紹介

受講料

複数名同時受講割引について

アカデミック割引

日本国内に所在しており、以下に該当する方は、アカデミック割引が適用いただけます。

ライブ配信セミナーについて