ヒトの活動によるあらゆる生成物、とりわけ食べて使って評価できるものでは、個人の直接判断に委ねられるが、生命に係わる科学技術や薬物などの医学関連試験成績は、多くの関係者の作業の成果物であり、受益者による直接評価は困難なため、その評価は規制当局による判断 (許認可) となる。規制当局も試験成績の信頼性が書面調査などで確認できなければ、判断ができない。
また、非臨床試験は、臨床 (ヒト) における有用性の評価される前段階として、微生物や動物による評価は欠かせない。ただ、これらの作業にはスキルが伴い、時に手違いが生じた場合、第三者により見つける体制、試験への影響の判断と再発防止の指導者を行うことが信頼性につながる。同様に、ヒト以外にもコンピュータによる作業と記録のデジタルが進んでも、プログラムのバグが認められた場合の報告と修正手順も信頼性の確保につながる。
これらを踏まえると、信頼のおける試験資料は必須であり、Data Integrity (データの完全性) の確保を証明するポイントは、不正な作業や情報を起こす要因を理解し、未然に防ぐには、作業の5W1H記録から始まり、起こった場合の対処する責任体制の所在を明確にすることにある。方策としては、規制当局による適合性書面調査やGLP調査から学び、デジタル化時代のより良い試験記録 (生データ) の最終化・修正/試験計画書・逸脱と報告書作成/照会事項対応の事例を交えた解説を行う。
- 信頼性確保とData Integrity
- 不正の要因と防ぐ方策
- 試験業務 (管理・実施・記録・報告・保管・監査)
- GLP試験vs非GLP試験
- 導入試験と外部委託試験
- コンピュータ化とValidation
- 予期せぬ事態とリスク管理 (QCサークル)
- 非臨床試験の信頼性に係わるポイント
- 試験実施とデジタル化におけるワンオペ対策
- 試験計画/実施/記録/解析報告書作成の手順と記録
- 生データ・実験ノートの取扱い
- 検証業務と実施者とのコミュニケーション
- データの収集と訂正等のトラッキング
- 試験計画と報告書における規制
- 試験計画に係わるガイドライン (有無) への対応
- 報告書書式ガイドライン (有無) への対応
- in vivo動物試験の倫理
- 試験実施の信頼性に係わる規制
- 医薬品等のGLP省令 (OECDを含む)
- 電子化に係わる規制
- 自己点検・社内調査 (QC) と信頼性保証 (QA)
- 規制当局による適合性調査 (信頼性)
- 生データ・実験ノートの信頼のおける取扱い
- 試験計画書と標準操作手順書 (SOP) の遵守
- 試験の責任と施設の組織と指示系統の責務
- 試験記録 (生データ) の最終化/修正 (再測定)
- 試験計画書やSOPからの逸脱
- 試験報告書と信頼性確保のポイント
- 医薬品の試験記録と事業所内調査 (QC/QA)
- 試験施設と試験計画のリアルとリモート調査
- 書面とデジタル記録のリアルとリモート調査
- QCとQAのポイント
- 試験実施と予期せぬ事態の記録と調査
- GLP試験の適合性調査
- 適合性書面調査のポイント
- 試験資料の保管管理
- 書面と電子データ
- 適合性書面調査のチェックリスト
- 適合性調査へのリアルとリモート対応
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