第1部 Hazard面から見た日米欧三極におけるニトロソアミン類規制の比較と現在
(2024年7月25日 10:30〜12:00)
数年前より国内外でサルタン系医薬品、ラニチジン、ニザチジン及びメトホルミン等から発がん性物質ニトロソアミン類が検出され、一部の製品が自主回収されている。医薬品へのニトロソアミン類混入の原因は合成過程での生成、共用設備からの交叉汚染、回収溶媒や試薬中への混入、包装資材からの混入、保存時の生成等といわれている。これまでニトロソアミン類が検出された医薬品以外の医薬品でもニトロソアミン類の混入の可能性は否定できない。医薬品へのニトロソアミン類の混入は患者等への健康リスクを生じさせる懸念があり、その混入リスクを可能な限り低減することが重要である。
本セミナーでは日米欧三極におけるニトロソアミン類規制の比較と現在の状況について、演者の専門領域であるHazardを中心に述べる。
- 日米欧三極におけるニトロソアミン類規制の概要
- 欧州におけるニトロソアミン類規制内容
- 米国におけるニトロソアミン類規制内容
- 日本におけるニトロソアミン類規制内容
- ニトロソアミン類の評価と管理の方法
- ニトロソアミン類の最新情報
第2部 製薬プロセス環境水中の亜硝酸イオンの分析
(2024年7月25日 13:00〜13:40)
ニトロソアミンの発生原因は多岐にわたり、製薬プロセスのあらゆる局面でのモニタリングが必要とされています。今回は、発生原因の中でも最も広範にみられる、プロセス水中の亜硝酸イオンの分析方法についてご紹介いたします。
- ニトロソアミンの概要
- 医薬品中不純物としてのニトロソアミンの扱いと、これまでに知られている発生過程について紹介します。
- 水質基準項目における亜硝酸態窒素の測定
- これまでに、厚生労働省省令により水質基準項目として亜硝酸態窒素の基準値が設定されています。設定の経緯について紹介します。
- 亜硝酸イオンの測定例
- 今回はLC/MSを用いた実際の測定方法と、検出下限や試料調製法などの注意点について紹介します。
第3部 医薬品におけるニトロソアミン類の生成リスクの軽減を支援するモデリングツール
(2024年7月25日 13:50〜14:30)
医薬品におけるニトロソアミン生成の評価は、製薬業界にとって大きな課題となっている。新製剤や既存製剤のリスクを理解するためには、多くのリソースが消費される。
本発表では、リスク評価のスピードと品質を向上させるためのオープンアクセスモデリングツールを紹介する。本ツールは、ニトロソアミンリスク評価に関連する課題を明確し、様々な一日摂取許容量 (ADI) の閾値について紹介するとともに、製剤中の理論的なニトロソアミン生成に影響を与える要因についても説明する。さらに、事例研究を通じて、ツールの利用方法とその利点を示す。
- 規制上の課題
- 軽減戦略の比較
- 事例研究:理論的なニトロソアミン生成に及ぼす添加剤の亜硝酸塩レベルの影響
- DFEファーマのリスク軽減への支援
- 質疑応答
第4部 反応性NOxの定量方法及びニトロソ化合物の生成を抑制した製剤
(2024年7月25日 14:40〜15:30)
N-ニトロソアミンは第二級アミンや第三級アミンなどのアミンと亜硝酸塩などのニトロソ化剤 (以下、NOX) が共存する場合に生成します。医薬品添加剤には様々な種類のNOX源が微量に混入していると考えられますが、それぞれの量及び反応性を把握するには多大な労力を要します。
本講演では、私たちが開発したN-ニトロソアミンの形成に寄与するNOX (反応性NOX) の総量を簡便に評価する方法を概説し、ニトロソ化合物の生成を抑制した製剤設計の事例を紹介します。
- ニトロソアミン類の混入リスク評価の課題
- 反応性NOX量を指標としたリスクアセスメント手法の確立
- 初期リスク評価
- 添加剤中の反応性NOX量の評価及びデータベース化
- 後発医薬品開発におけるニトロソアミン管理戦略の策定
第5部 ニトロソアミン類生成原因アミン10種の一斉分析法の開発 〜東和アミンアプローチ〜
(2024年7月25日 15:40〜16:30)
ニトロソアミン類混入リスクに関する自主点検通知の発出により、医薬品製造販売業者は医薬品へのニトロソアミン混入リスクを評価し、適切な低減措置を講じることが求められている。
弊社においては、原薬中の残留アミン量から医薬品へのニトロソアミン混入リスクを評価するという独自の取り組み (東和アミンアプローチ) を実施しており、ニトロソアミン類の生成原因アミンの一斉分析法を開発したため、開発経緯とともに報告する。
- ニトロソアミン類混入リスク評価における原薬中残留アミン分析の利点
- HS-GC/MSによる分析法開発の経緯と課題
- LC-MS/MSによる分析法開発の経緯
- 東和アミンアプローチが抱える課題と今後の展望
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