塗装仕上がり/塗膜品質に影響する機構の理解と実際

セミナーに申し込む
オンライン 開催

本セミナーでは、塗装・塗膜について取り上げ、上塗り塗膜の重要な外観品質である、肌 (平滑性) 、光沢 (艶) 、メタリック塗膜の色調) の形成機構、および塗料・塗装技術の効率的な開発改良に役立つ知見を解説いたします。

日時

開催予定

プログラム

塗装において、重要な外観品質である肌 (平滑性) や光沢 (艶) を支配する凹凸の二つの形成機構 (塗着機構、転写機構) 、およびメタリック塗膜の色調が同一塗料を用いても使用する塗装機や塗装条件によって変動する機構について解説する。さらにこれらの外観品質の形成過程において重要な役割を果たす上塗り塗料のレオロジーについて、測定方法を含め解説する。  塗着機構は肌のような比較的長波長の凹凸を形成するもので、スプレー時に形成された凹凸が乾燥・焼付け時に完全にレベリングせずに残存するというものである。転写機構はあらゆる波長の凹凸を形成するもので、乾燥・焼付け時に最上層塗膜 (多くの場合、クリア塗膜) が流動しなくなると、基材面や界面の凹凸、顔料の偏在が最上層塗膜の表面にそれぞれ転写されるというものである。  メタリック塗膜の色調変動は、塗膜中のメタル片の配向のみでなく、塗膜中のメタル片の組成 (サイズ、濃度) の変動にも起因する。塗膜中のメタル片は、スプレー時に塗料粒子が基材面そのものに衝突することによって配向し、乾燥・焼付け時にはウェット塗膜の収縮によって配向する。この結果として、メタリック塗膜の明度 (ハイライト方向) が上昇する。また、塗膜のメタル片の組成は、スプレー時における塗料粒子へのメタル片の不均等な分配と基材面への塗料粒子の選択的な塗着によって変動する。このため、塗着効率が向上すると、メタリック塗膜の明度 (ハイライト方向) は低下する。  上塗り塗料のレオロジーとしては、スプレー時の微粒化の良し悪しを左右する粘度の剪断速度依存性、乾燥時のウェット塗膜の流動を支配する粘性回復 (剪断速度の急減に伴う) と粘度の濃度依存性、焼付け時の流動停止のタイミングが非常に重要である。  これらの研究結果を詳述し、上塗り塗膜の重要な外観品質である、肌 (平滑性) 、光沢 (艶) 、メタリック塗膜の色調の形成機構、および外観品質を支配するレオロジーに対する理解を促し、塗料・塗装技術の効率的な開発改良に役立つ知見を提供する。

  1. 自動車塗装
    1. 塗膜構成と塗装工程
    2. 塗料と塗装工程の変遷 (環境対応)
    3. 今後の課題
  2. 塗膜の凹凸形成機構
    1. 塗膜の凹凸と外観品質
    2. 凹凸に依存する外観品質の評価法
      • 肌 (平滑性)
      • 光沢 (艶)
    3. 塗着機構による凹凸形成
      1. 単層 (1C1B) 塗膜における凹凸形成
      2. ウェットオンウェット積層 (2C1B、3Wet) 塗膜における凹凸形成
    4. 転写機構による凹凸形成
      1. 単層 (1C1B) 塗膜における凹凸形成
      2. ウェットオンウェット積層 (2C1B、3Wet) 塗膜における凹凸形成
      3. 冷却 (焼付温度から室温への温度変化) に伴う凹凸の顕在化
  3. メタリック塗膜の色調変動機構
    1. 色調の評価法
    2. メタル片の配向機構
      1. メタル片配向の評価法
      2. メタル片の衝突配向
      3. メタル片の収縮配向
      4. メタル片の配向に及ぼす塗料の水性化の影響
    3. メタル片組成 (サイズ、濃度) の変動機構
      1. メタル片組成に及ぼす塗装条件の影響
      2. 塗料粒子へのメタル片の不均等な分配
      3. 塗料粒子の選択的な塗着
  4. 外観品質と上塗り塗料のレオロジー
    1. 粘度の剪断速度依存性
    2. 粘性回復
    3. 粘度の濃度依存性
    4. 流動停止のタイミング

受講料

複数名受講割引

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

アーカイブ配信セミナー