フォノンエンジニアリングの基本的な考え方、熱伝導率の制御や測定、その応用

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第1部 フォノンエネルギーの測定方法、応用について

〜X線非弾性散乱法、ラマン分光法を中心に〜

(2024年7月12日 10:00〜11:00)

 近年、デバイスの高性能化に伴い熱が重要視されており、材料・デバイス中の熱特性を正しく捉えることは高効率デバイスを作製する上で欠かせない。計算によるフォノン輸送の予測、熱伝導および熱散逸の機構を調べる研究などが活発に行われている。  本講座では、格子振動とフォノンの関係について触れたあと、フォノンエネルギーの評価手法として挙げられるX線非弾性散乱、ラマン分光法の原理、活用法について紹介する。

  1. はじめに
    1. フォノンエンジニアリング
    2. 格子振動とフォノンの関係
    3. フォノンエネルギー測定手法
  2. X線非弾性散乱法
    1. 原理
    2. X線非弾性散乱装置
    3. X線非弾性散乱スペクトル、フォノン分散曲線の一例
    4. 計算結果との比較
  3. ラマン分光法
    1. 原理
    2. ラマン分光装置
    3. ラマンスペクトルの一例
    4. ラマンスペクトルの活用方法

第2部 熱伝導やエネルギーの移動や制御への応用について

〜熱電変換材料など低い熱伝導率が求められる機能性材料を中心に〜

(2024年7月12日 11:15〜12:15)

 機能性材料における熱 (フォノン) 輸送はそれを使ったデバイスの性能に大きな影響を与える。  本講座では熱輸送が特に重要な熱電変換材料を中心に、フォノン輸送の実験的解析方法を紹介し、各種構造を持った材料のフォノン輸送について解説する。

  1. 機能性材料における熱輸送
    1. フォノンエンジニアリング
    2. 熱電変換材料とは
    3. 熱電変換材料におけるフォノンエンジニアリング
  2. 熱輸送の測定方法
    1. 熱伝導率の測定
    2. 群速度の測定
    3. フォノン平均自由行程の測定
  3. 単結晶材料における熱輸送
    1. シリコン単結晶の表面酸化膜の影響
    2. シリコン単結晶の配向性の影響
    3. シリコン単結晶の不純物濃度の影響
  4. アモルファス材料における熱輸送
    1. アモルファスシリコン薄膜
    2. アモルファスシリコン・ゲルマニウム薄膜

第3部 フォノンエンジニアリングに基づいた異種熱電材料間の界面熱抵抗と低熱伝導率化

(2024年7月12日 13:15〜14:30)

 異種材料が接触する場合、接触面が完全に接触していても界面熱抵抗という 小さな熱抵抗が生じる。ナノテクを用いて、この界面の数を増大させると 見かけの熱伝導率を下げることができ、熱電変換材料の高効率化などに 応用が期待される。  この界面熱抵抗について、実験と第一原理計算から アプロ – チした結果を解説しながら、それら手法にについて解説する。

  1. 界面熱抵抗とは
    1. 熱伝導と界面熱抵抗
    2. 異種材料間の界面熱抵抗
    3. 界面熱抵抗を考慮した混合物の見かけの熱伝導率
  2. 塗布熱電材料
    1. 熱電塗布膜
    2. 熱電塗布膜の熱伝導率測定
    3. 3オメガ法による異種材料の界面熱抵抗測定
  3. 界面熱抵抗モデルについて
    1. 界面熱抵抗モデル
      • DMM
      • AMM
      • MTM
    2. フォノン分散関係
    3. 古スペクトルDMMモデルによる計算とメカニズム理解
  4. 機械学習を用いた分子動力学計算
    1. 分子動力学法について
    2. MTPポテンシャルについて
    3. 得られた熱伝導率と界面熱抵抗

第4部 相転移材料を用いた熱・電気輸送の制御

(2024年7月12日 14:45〜15:45)

 当研究グループでは、2次元から3次元の結晶構造への可逆変化によって、低温では断熱し高温では放熱する新材料を開発した。  本講演では2次元-3次元構造転移材料・合成プロセスの設計方法から電気・熱伝導特性の特徴について紹介する。

  1. 2次元-3次元構造転移材料
    1. 2次元・3次元構造物質の特徴
    2. 2次元-3次元構造転移材料の設計
    3. 非平衡合成プロセス
  2. 2次元-3次元構造転移材料の構造と物性
    1. 結晶構造
    2. 電気・熱伝導特性
    3. 電子構造・フォノン状態計算
  3. 2次元-3次元構造転移材料の応用
    1. 構造転移温度の制御
    2. 電場印加構造転移
    3. 材料系拡大による将来展望
  4. 散逸エネルギー測定
    1. 散逸エネルギー測定の原理
    2. 散逸エネルギーによる疲労限界点の予測測定

第5部 フォノンモードを区別したラマン分光計測による半導体デバイスにおける熱流・熱効果観測とフォノン制御・利用

(2024年7月12日 16:00〜17:00)

 発光デバイスやトランジスタ等では電子とフォノンの相互作用を考慮すると、音響・光学フォノンモードを区別した観測解析と制御が求められる。ラマン分光による計測・解析手法やフォノンの輸送制御・新たな利用法について解説する。

  1. 音響フォノンと光学フォノン
    1. 音響フォノンと光学フォノンの特性
    2. 音響フォノンおよび光学フォノンと電子の相互作用
    3. 電子・光デバイスにおけるフォノンモード区別の重要性
  2. ラマン散乱分光
    1. ラマン散乱原理、ストークス光とアンチストークス光
    2. 光学フォノンと音響フォノン
    3. ラマン散乱分光による3次元フォノン輸送計測
    4. 時間分解分光でわかること
  3. 縦光学フォノンを用いたTHz〜中赤外線発光
    1. 半導体表面マイクロ構造からのTHz〜中赤外発光原理
    2. 超高速発光と効率:フォノン利用の優位性
    3. 今後の応用可能性

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