リチウムイオン電池用正極材料の高容量化に向けた開発、適用と評価

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第1部 酸化物正極材料における酸素脱離〜格子酸素安定性評価と欠陥能動制御〜

(2024年6月27日 10:00〜11:30)

 電池の安定性を考えるうえで、正極活物質からの酸素脱離は重要な現象である。  本講座では、正極材料からの酸素脱離現象を、材料レベルで評価する手法を紹介し、リチウムイオン電池正極における評価実績を示す。  また、本評価手法を活用すると、材料に酸素欠陥を狙って導入することも可能となり、酸素欠陥を活用した材料開発に繋がる。その検討事例についても紹介する。

  1. 背景 電池の安全性と正極酸素脱離
  2. 酸素脱離の評価手法の紹介
  3. Liイオン電池正極における評価事例
  4. Liイオン電池正極を対象とした酸素欠陥制御の検討事例

第2部 逆蛍石型リチウム鉄酸化物を利用した高容量正極の開発

(2024年6月27日 12:10〜13:40)

 リチウムイオン電池正極材料の高性能化は大型蓄電池開発に必須である。正極材料の高容量化の実現にはコバルト、ニッケルなどのレアメタルの使用が不可欠であり、高エネルギー化と低コスト化の両立が大きな課題となっている。  現在、実用化されている、安価な鉄を用いたオリビン型LiFePO4は鉄の1電子レドックス反応しか利用できず、鉄系材料で高容量化が可能となれば、高エネルギーと低コストの両立が見込むことが可能である。  本講演では逆蛍石型構造を有するリチウム鉄酸化物Li5FeO4の高容量化技術について解説する。

  1. 逆蛍石型正極材料の位置付けと研究開発の歴史
    1. リチウム過剰酸化物としての逆蛍石型材料
    2. 高結晶逆蛍石材料の不可逆なレドックス反応
  2. 逆蛍石型正極材料の立方晶化による高容量化
    1. メカニカルアロイングによるカチオンの不規則化
    2. 立方晶化による固体内酸素レドックスの発現
    3. 第一原理計算による反応経路考察
  3. 逆蛍石型正極材料の更なる性能向上に向けた材料設計
    1. 遷移金属固溶化
    2. 典型元素置換
  4. まとめ

第3部 リチウムイオン電池用ニッケル系正極材料の高性能化に向けた設計指針

(2024年6月27日 13:50〜15:20)

 近年、リチウムイオン電池用正極材料として、高容量・低コスト化の観点からニッケル系層状正極材料が注目されている。  本講演では、ニッケル系層状正極材料の特徴や技術課題、高容量化や出力特性、耐久性、熱安定性などの特性改善技術および材料設計について説明する。

  1. リチウムイオン電池について
    1. リチウムイオン電池の基礎
    2. 要求特性と市場動向
  2. リチウムイオン電池用正極材料
    1. 各種正極材料の特徴
    2. ニッケル系層状正極材料の特徴
    3. ニッケル系層状正極材料の課題
  3. ニッケル系層状正極材料の特性改善技術・材料設計
    1. 高容量化・高エネルギー密度化
    2. 耐久性の改善技術
    3. 出力特性の改善技術
    4. 熱安定性の改善技術
    5. コバルトレス・低コスト材料
  4. まとめ

第4部 層状・不規則岩塩構造を有する正極材料の充放電特性に好影響を及ぼす原子配列の検討

(2024年6月27日 15:30〜17:00)

 リチウムイオン電池に用いられる正極材料は、一般的に複数の遷移金属を含む組成を有している。その正極特性は原子配列と密接に関係していると考えられるが、遷移金属の分布や各々の遷移金属周辺の局所構造を解明することはしばしば困難である。  本講演では、量子ビーム全散乱測定と得られたデータを用いた逆モンテカルロモデリングに注目し、正極材料の局所構造を検討した例を紹介する。

  1. はじめに
    1. 層状・不規則岩塩構造を有する正極材料
    2. 平均構造と局所構造
  2. 全散乱測定と逆モンテカルロモデリング
    1. 構造因子と2体分布関数 (PDF)
    2. 全散乱測定
    3. PDFフィッティング
    4. 逆モンテカルロモデリング (RMCモデリング)
  3. 全散乱データを用いた逆モンテカルロモデリングの実例
    1. 不規則岩塩構造を有する正極材料の原子配列 (局所構造)
    2. 層状構造を有する正極材料の原子配列 (局所構造)
  4. 最近の取り組みと今後の展望

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