適正な知財コストの考え方と権利化、維持・放棄の決め方

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第1部 明治における知財戦略と特許の評価・維持放棄の考え方

(2024年6月20日 10:30〜12:00)

 知的財産部門は、2021年に改訂された東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」1) において、上場企業の知財活動に対し取締役会の管理監督義務や開示義務が規定されて以降,社内外から組織ミッションの見直しを大きく迫られている。具体的には、従来のように受け身の活動を推進するだけの組織から、社内外の知的財産に関する情報を収集・分析し、分析結果に基づいて知財戦略を策定・実行していくことが求められるようになってきている。  今回、食品業界に属する株式会社明治 (以下、明治) における知財戦略と、当該知財戦略を策定する際に最も重要な要素の一つである自社が保有する特許の評価の考え方について紹介したい。

  1. はじめに
  2. 明治における知財戦略
    1. 技術とブランドのシナジー
    2. 明治の特許戦略
  3. 明治における特許の評価・維持放棄の考え方
    1. 明治における特許の評価・検討フロー
    2. 出願要否検討 (国内出願要否検討
    3. 外国出願要否検討
    4. (PCT) 移行国検討/審査請求要否検討
    5. 登録/分割出願要否検討
    6. 維持放棄検討
  4. おわりに

第2部 オムロンにおける知財活動の変化と業務の効率化

(2024年6月20日 13:00〜14:30)

 近年、IPランドスケープの推進やCGC対応など、知財部門の役割は広範囲に拡大し、周囲からの期待も高まっている。これに伴い、知財部門の活動も多様化し、活動量も増加している。  オムロンの知的財産センタでは、従来の特許を中心とした知財活動から技術・ノウハウや人材能力などにもスコープを広げた知財・無形資産活動に取り組んでおり、多様化する知財・無形資産活動と増加する活動量に対して、さまざまな施策を講じ、変化に対応してきた。  本講演では、これまで講じた施策の一例として、“みらい”に向けての活動を後押しするための出願・権利化業務の革新プロジェクトである「Compass PJ」と、変革の風土醸成に向け、目指すべき姿を言語化した「知的財産センタのミッション&ビジョン」を紹介するとともに、今後の展望などを述べる。

  1. 講師紹介
  2. オムロンについて
    1. オムロンの事業
    2. オムロンの技術
    3. オムロンの知財
  3. 知的財産センタの取り組み
    1. 知的財産センタの体制
    2. 知的財産センタの変遷
    3. 出願・権利化業務革新プロジェクト:Compass PJ
    4. 知的財産センタのミッション&ビジョン
  4. 知的財産センタの「みらい」

第3部 主要国 (米国・欧州・中国) での出願権利化と低コストで効率的な審査対応テクニック

(2024年6月20日 14:45〜16:15)

 世界的な感染症流行や紛争などを背景とした物価・人件費の高騰や昨今の円安に伴い、外国での出願権利化は非常に高額になってきており、企業における知財予算への影響は年々大きくなってきている。  また、2021年6月のコーポレートガバナンスコード改訂により、「取締役会による知的財産投資の監督」と「知的財産投資の情報開示」が要求され、企業の持続的な成長に資するように経営資源の知的財産への配分の監督がより実効的に行われるようになってきている。  これらを踏まえ、本講演では、「権利活用を意識」していかに「低コストで効率的」に外国で権利を取得するかということに着目して筆者のこれまでの経験を踏まえた考え方やテクニックを紹介する。

  1. 外国出願の基本的な考え方
    1. 出願すべき技術と秘匿すべき技術
    2. 先使用権
    3. 秘密管理
    4. 出願国
  2. 外国出願の実務
    1. 出願ルートの決定
    2. 外国出願の事務所への依頼パターン
    3. 米国特許事務所選定
    4. クレームセット
    5. 翻訳
    6. 明細書作成ガイダンス
    7. 知財ミックス
  3. 米国における出願権利化の実務
    1. BRI (Broadest Reasonable Interpretation)
    2. インタビューの活用
    3. 米国代理人への審査対応時の指示
  4. 欧州における出願権利化の実務
    1. 欧州出願ルート
    2. クレームセット
    3. 補正制限
    4. 自己衝突
  5. 中国における出願権利化の実務
    1. 出願ルート
    2. 補正制限
    3. 自己衝突

第4部 アルプスアルパインにおける知財活動

(2024年6月21日 10:30〜12:00)

 アルプスアルパイン株式会社は、1948年に片岡電気として創業した総合電子部品メーカーで、後のアルプス電気株式会社と1967年にアルプス電気と米国モトローラの合弁会社として誕生したアルパイン株式会社が2019年に経営統合し、2023年に創立75周年を迎えた。経営統合を果たした弊社は、デリスキリング、デカップリングの時代、どのように事業を展開し、知財活動を進めるべきかを常に模索している。  講演では、弊社の事業、知財指標の考え方、経営統合で感じた課題、人材育成、IPデータサイエンスなどを皆さんに紹介させて頂き、同時代に日本で知財活動している仲間として、意見交換できると良いと考えている。

  1. アルプスアルパインについて
  2. 経営統合で感じた課題
  3. 知財指標の考え方
  4. 人材育成
  5. アルプスアルパインにおけIPデータサイエンスのアプローチ

第5部 簡便かつ本質的な特許権の評価と維持・放棄の判断基準

(2024年6月21日 13:00〜14:30)

 特許権の維持費用が重荷になり、業績が悪くなると出願件数をセーブしたり特許権を放棄したりすることがよくあるが、業績悪化でこのような対応をするのは、特許権が役に立っていない証ではないだろうか。業績が悪い時ほど、特許権をしっかり維持し、業績を立て直すのに役立てようと思うのが本来の姿のはずである。  その一方、理想はさておき、特許権の維持費用が経営の負担になっているのであれば、その現実に対処せねばならず、企業として、株主を含め、社会に対し十分な説明ができるようにしておくことも重要である。  そこで本講演では、このような理想と現実をふまえ、どのように特許権の棚卸をするのか、講演者の考えを説明する。

  1. 知財の棚卸をする前に
    1. コストと投資
    2. 維持費用は覚悟されていたのか
  2. 特許権の一般的価値判断価手法
    1. 3つの価値評価手法
    2. 3つの特許分析指標
    3. まとめ
  3. 特許権の棚卸をする手法のご提案
    1. 特許権取得の効果
    2. 特許権の譲渡と放棄
    3. 棚卸の手法 (考え方と具体例)
    4. 留意事項

第6部 三菱電機における知財活動と知財コストの考え方

(2024年6月21日 14:45〜16:15)

 三菱電機では、これまで知財活動を積極的に行い、一定の知財力を確保してきた。一方、三菱電機が目指しているサステナビリティ経営を実現する「循環型デジタル・エンジニアリング企業」への事業変革に合わせ、これまでの「モノ」中心の知財活動から「モノ+コト」の知財活動にシフトしつつ、知財の質の強化、グローバル対応の強化、標準化活動を意識した知財活動などの施策の強化も併せて必要であり、知財コスト削減が急務となっている。  今回は、最近の三菱電機における知財戦略及び知財コストの考え方について紹介すると共に、投資した知財コストを当社事業へ効果的に還元する権利活用活動について紹介する。

  1. 三菱電機の知財戦略
    1. サステナビリティ経営に向けた知財活動
    2. 知財・標準化を支える体制と知財活動状況
    3. 経営戦略を見据えた知財ポートフォリオの変化
      1. 質の向上
      2. グローバル化に対応した出願
  2. 知財コストに対する考え方
    1. 権利維持・放棄判断
    2. 費用削減プログラム
    3. 海外出願費用削減
      1. 海外出願ルートの見直し
      2. 出願厳選
      3. 国内外特許事務所活用の見直し
      4. 海外特許事務所への依頼内容の見直し
      5. 海外拠点向けの事務所選定
  3. 権利の活用について
    1. パテントプールの活用
      1. パテントプール活動の意義
      2. パテントプール活動の実態
      3. パテントプール活動の課題
      4. 今後の展開
    2. 社外との共創
      1. 共創パートナー企業の探索・アプローチ
      2. 成約事例
      3. 事例紹介〜プラスチックマテリアルリサイクル技術を活用した新規事業プロジェクト〜

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