ファインセラミックスの板、円柱、パイプ状等の単純形状や積層構造ならびに金属との複合構造体を作るプロセスは一つに限らない。従来のスタンダードなプロセスやその組み合わせ、または新規なプロセスを用いて作られている。プロセスを考えるのはまさに‘知的なホビー’と言える。セラミック成形プロセスの中で数、量共に多いテープ成形に焦点を当て、その前駆体であるサスペンジョンについての基礎的な要素技術を説明する。得られた知識はペーストや顆粒、坏土、コンパウンドの作製にも応用可能である。確かな基礎の上に応用はある。 ファインセラミックスは携帯電話、パソコン、サーバー、ファクシミリ等の通信情報分野、テレビ等の家電製品、人工骨、歯等の生体関連、工具や自動車関連の部品として広く使われている。その中でテープを用いた製品群はセラミックパッケージやモジュール回路基板、積層セラミックチップコンデンサー、圧電応用部品、サーマルヘッド基板等多くの分野に亘っている。高機能化、高性能化への要求がますます厳しくなる中、どのような製法が適しているのか、課題は何なのか、解決策はどこに求めればいいのか…など、研究や開発に携わる人は頭を悩ませていると思われる。特にノウハウの部分が多い成形プロセスに関しては、関連する学術分野は何なのか、何を参考にすればいいのか学ぶ機会が少ないと感じる。この講演では、現象を考察するために役立つ基礎技術をできるだけ紹介する。また具体的な質問へ回答し、課題解決の糸口になるようにしたい。
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