今日の情報化社会は、マイクロエレクトロニクス (ME) の発展に支えられている。MEは、1950年代に集積回路 (IC) が開発されて以来、大規模集積回路 (LSI) のパターンの微細化、高集積化、すなわちメモリー大容量化、システムLSIの高性能化の方向で、一貫して発展してきている。あわせて情報処理の高速化、低価格化も実現してきた。今後もメモリーの大容量化およびシステムLSIの高性能化の流れは止まりそうにないと予測されている。このような流れの中で、フォトリソグラフィの進歩はフォトレジストなどの材料開発が中心軸となってMEの発展に寄与してきたが、これらの材料をうまく使いこなす露光装置を中心としたハードウェア、プロセス技術の進歩も著しいものがある。
レジスト材料の開発はパターンの微細化、高解像度化が中心で、これは主として露光に用いる光の波長を短くすることで実現されてきた。ここまではさまざまな選択肢、さまざまな試行など、紆余曲折はあったものの、結果として振り返ってみれば、それまでの技術の延長線上で進んできている。1970年代から40年余りの短い時間に次のような大きな技術変革を経験している。
- コンタクトアライナーによるリソグラフィ技術の確立
- 投影露光方式の導入
- 化学増幅型レジスト/エキシマレーザ光源の採用
- EUV光源の採用など
それぞれのステップで多くのイノベーションが実現され課題を克服してきたわけである。ここでは、これまでの技術・材料開発の事例をまとめ、今後の効率的な技術開発・不良防止・トラブル対策への応用への指針とする。あわせて、日本の今後の半導体関連産業の在り方についても考察する。
- 技術パラダイムシフトと半導体集積回路
- 科学技術の発展
- 技術パラダイムシフト
- マイクロエレクトロニクス (ME) と社会
- MEの黎明期とフォトレジスト
- フォトレジストの本流
- ゴム系ネガ型フォトレジスト
- リソグラフィプロセスの確立
- 基本的構造及び製造法
- ノボラック系ポジ型レジスト
- 基本的組成
- マトリックス樹脂製法、感光性化合物
- レジストの透明性と解像度
- i – 線レジスト
- リソグラフィプロセスでの化学と工程管理
- レジストの溶剤と環境への影響
- 高性能化への工夫と新たなイノベーション
- フォトレジストの裏街道
- X線レジスト
- Top Surface Imaging:DESIRE
- Deep UVリソグラフィ
- 黎明期のレジスト
- 化学増幅型レジスト
- 光酸発生剤
- エキシマレーザリソグラフィ
- KrFレジスト
- エキシマレーザリソグラフィ実現への課題
- 光源・光学系の課題
- 化学増幅型レジストの課題
- 材料からの改良
- プロセス面からの改良
- 実用化されたレジスト材料
- ArFレジスト
- ArFレジスト実現への課題
- 液浸リソグラフィ
- EUVリソグラフィ
- 光源・露光機の開発
- レジスト開発
- 今後の展望
- 現像プロセスの考え方
- 科学技術と社会 (半導体と人間)
- 実装材料 (ポリイミド)
- フラットパネルディスプレイ材料
- ブレインマシンインターフェイス (BMI)
- 科学技術と社会 (地球規模の課題と科学技術/半導体)
- 国の安全保障の根幹を担う半導体産業
- 効率的にイノベーションを創出するために
- まとめ
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