ディジタル製品の製造・開発に関わる技術者にとって、時間⇔周波数の変換であるフーリエ変換、不要な成分を除去するフィルタは、必要不可欠な演算である.およその動作の理解は容易だが、複素正弦波、正負の周波数、たたみ込み、高速フーリエ変換 (FFT) 、エリアシング、スペクトル漏れ、ノイズフロア、窓関数など、個々の要素とその意味を正確に理解するのはなかなか難しい. 本講義では、線形代数で学習した「内積」と「直交」の概念を用いて、個々の要素と演算の意味をひも解き、アナログとディジタルのフーリエ変換および信号処理の本質を学んでいく.担当講師が所属大学で担当した、わかりやすいと評判の講義「回路解析」・「ディジタル信号処理」をもとに、それらの内容をアレンジした構成である.信号処理を初めて学ぶ初学者はもとより、一度は学んだがより深く理解したい技術者の方、日頃扱うディジタル計測器の原理について理解を深めたい方、ディジタルの知識がこれから必要になる新卒者の方など、幅広い方々に有用な情報を提供できるものと考えている.