可食から非可食バイオマス原料への転換が進む次世代バイオプラスチックの最新開発動向

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本セミナーでは、環境・資源・廃棄物の課題、資源循環型社会に向けた業界・法規制動向、非可食バイオベース・モノマー、化学品の最新開発動向・技術的課題、新規バイオプラスチックの開発動向・基本特性、用途・製品・市場開発動向について、豊富な経験に基づき詳しく解説いたします。

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プログラム

昨今の地球環境・資源・廃棄物問題の背景下、再生可能なバイオマスを原料とするバイオプラスチックの開発が進められる中で、これまで原料としてはコーン等の食料資源が用いられてきたが、近年は食料問題と競合しない非可食バイオマスを原料とするバイオプラの開発が活発化している。例えば、次世代バイオプラと世界的に新設・増産計画が相次ぐポリ乳酸 (PLA) に関しても、最近日本で木材パルプから酵素法によるセルロース系糖質の乳酸発酵によるPLAの画期的な製造法が報道されている。また、世界的には木質・草本系バイオマスからパラキシレンを経て100%バイオベースPETの開発と実用化が進展しつつある。  本講では、これら非可食バイオマスを原料とする新しいバイオリファイナリーの現状と将来展望を交えながら、次世代バイオプラスチックとして期待される有力素材・技術・市場開発の最前線を踏査する。

  1. 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
    1. 石油由来合成高分子化合物が内包する地球環境・資源・廃棄物問題とは
      1. 原料枯渇問題: 50年後に枯渇、そこに至る迄に需給関係から価格高騰必至
      2. 地球温暖化問題: 焼却に伴う温暖化ガスの増大
      3. 廃棄物問題: 海洋プラスチック汚染問題等
    2. 海洋プラスチック汚染の実態と生分解性プラスチックの役割
      1. 海洋プラ濃度の経年変化 (累積増加) 曲線
      2. 海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的 (グローバルな) 視点
      3. 海洋自然生態系が許容し得る分解速度、ポジティブ・コントロールとは?
        • 地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
    3. バイオプラスチックの識別表示制度と環境負荷低減効果
      1. 日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度 (2021年9月改定)
        1. 生分解性プラスチック
        2. 生分解性バイオマスプラスチック
        3. バイオマスプラスチック
      2. カーボン・フットプリント: LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
    4. 世界の法規制、グリーンガイド指針、業界動向
  2. バイオベース・プラットホームケミカルとバイオリファイナリー最前線
    1. バイオマス資源
      1. 可食バイオマス
        • デンプン (トウモロコシ)
        • 廃糖蜜 (サトウキビ)
      2. 非可食バイオマス
        • リグノセルロース (茎や葉、雑草、稲わら、廃木材)
        • ヒマシ油
        • 廃植物油
        • その他
    2. 非可食バイオマスファイナリーとプラットフォームケミカル
      1. シュガープラットフォーム: セルロース系糖質から微生物発酵又は触媒化学的手法により化学品を得る
        1. 分解酵素 (セルラーゼ) 法: 酵母や乳酸菌による発酵生産 (エタノール、乳酸)
          • 酵素生産、糖化、発酵の生化学的過程をすべて統合化したCBP (Consolidated
            Bioprocessing) とは?
            1. 超臨界加水分解法: Plantrose®/Renmatix社の触媒化学的バイオリフォーミング (パラキシレン)
      2. 合成ガス (CO、 H2) プラットフォーム: 低酸素下の熱分解ガスから化学品を得る
        • 微生物触媒によるエタノール生産、微生物による排ガス発酵技術とは?
      3. バイオマスナフサ調製法と誘導化学品: 廃植物油の高温熱分解から得るバイオマスナフサのクラッキング (エチレン等)
    3. バイオベースモノマー又は中間体
      1. C2: エチレングリコール (EG)
      2. C3: グリセリン、乳酸、1.3-プロパンジオール (PDO) 、3-ヒドロキシプロピオン酸 (3-HP) 、アクリル酸
      3. C4: コハク酸、1、4-ブタンジオール (BDO) 、γ-アミノ酪酸 (GABA)
      4. C6: ソルビトール、イソソルバイド、フランジカルボン酸 (FDCA) 、アジピン酸
        • 北海道大学が従来法の限界を突破する画期的な高効率FDCA新規化学合成法を開発
      5. C8: p-キシレン (PX)
      6. C10: セバシン酸
      7. C18: リシノール酸
  3. バイオプラスチックの最新動向
    1. バイオポリエチレン (bio-PE)
    2. バイオポリプロピレン (bio-PP)
    3. バイオポリエステル (bio-PES)
      1. 生分解性バイオポリエステル
        1. ポリ乳酸 (PLA)
          • 生分解性 (堆肥化またはバイオマス発電可能) と長期使用耐久性 (構造材料) の両面展開が可能な唯一のバイオプラスチック
          • 非可食木材パルプからのセルロース系糖質を原料にPLA生産技術開発 (王子HD)
          • 世界的にPLA生産設備の新設・増産計画が相次ぐ (約50万トン/年)
        2. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT)
        3. ポリブチレンサクシネート系
          • PBS
          • PBSA
        4. 微生物産生ポリエステル系
          • PHBV
          • PHBH
        5. その他
          • デンプン系
          • PGA
          • PEST
      2. 非生分解性バイオポリエステル
        1. バイオポリエチレンテレフタレート (bio-PET)
          • RenmatixのPlantrose®を用いたVirentのBioReforming プロセスによるバイオパラキシレンの生産が主流に!?
        2. ポリトリメチレンテレフタレート (PTT)
        3. ポリエチレンフラノエート (PEF)
          • 化学構造: 植物由来フランジカルボン酸 (FDCA) から成るバイオポリエステル
          • 基本特性: PET対比で優れたガスバリア性と耐熱性
    4. バイオポリアミド (bio-PA)
      1. ポリアミド11: 最も歴史の古い古典的なバイオポリアミド
      2. ポリアミド10T
        • 化学構造: 1、10デカンジアミンとテレフタル酸の重合体
        • 基本特性: 超高耐熱性…Tg/Tm:160/314 (°C) 、 DTUL (1.8MPa) >300°C、低吸水率、耐薬品性、耐摩耗性、電気特性に優れた次世代スーパーエンプラ
    5. バイオポリカーボネート (bio-PC)
      • 化学構造: 植物由来複素環式ジオールのイソソルバイドから成るバイオポリカーボネート
      • 基本特性: 光学特性、表面硬度、耐候性・耐光性、耐衝撃性や耐薬品性に優れた新規エンジニアリング・プラスチック
  4. 質疑応答

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