第1部 ガラスの機械的特性と評価
(2024年5月31日 13:00〜14:30)
ガラスは工業的に広く利用されている無機材料で、単体のガラス板としてだけでなく、基板やカバー材、コーティング材などのように主要な材料の搬送や保護のためなどその目的は多岐にわたる。形状自由度が高く、剛性や化学的耐久性も良く、他の材料に比べても安価なガラスは魅力的な材料だが、いずれの用途においても商品を作るにあたり強度を中心としたガラスの基礎特性をよく理解して取り扱うことが重要である。
本講座ではガラスを利用する際に破壊が起こらないようにするために理解しておく必要のある基礎知識や、ガラスの強度を高めるための手法の例を紹介する。また、安全な利用に向けて行うべき強度特性の評価方法を説明する。
- ガラスの基礎知識
- ガラスの種類と特徴
- ガラス転移温度と粘性、熱膨張挙動
- ガラスの仮想温度とは何か、懸念される影響
- 機械特性と破壊
- ガラスの強度の決定要因
- 高強度ガラスとは何か?
- いろいろな強化方法と特徴
- 機械特性の評価方法と解析
- ガラスの機械特性
- 非破壊測定による機械特性評価
- 破壊測定による機械特性評価
- 破壊したガラスからの割れ解析
- まとめ
第2部 ガラスの化学強化 〜基礎を中心に〜
(2024年5月31日 14:45〜16:30)
ガラスは透明性、耐久性等から優れた材料だが、脆くて割れ易いのが欠点である。この欠点を補いガラスを強い材料に変える手段が強化であり、これを化学的な方法で行なうのが化学強化で薄い板厚あるいは複雑な形状のものでも強化が可能なことが特徴である。
ガラスの化学強化は1980年代にはほぼ確立した比較的古い技術であるが、最近応用範囲が拡大しそれに合せてさらに割れにくくするためのガラスの組成や強化技術の改良が続けられている。化学強化ガラスを製造、あるいは使用する上でその基礎的知識は非常に重要であり、それに基づきどのような点に注意すれば良いかを概説する。
- 序論:ガラスの基礎と強化の歴史
- ガラスの強度と強化の方法
- ガラスの強度とその強化方法
- 強化の原理:化学強化と物理強化 (風冷強化) の違い
- 化学強化の方法の種類
- 化学強化ガラス表面の応力の評価方法
- 低温型化学強化
- 強化の拡散からの考察
- 表面応力の発生と緩和
- 強化の方法
- 溶融塩法における塩の汚染の影響
- 強化へのガラス組成の影響
- 化学強化で高い強度が得られる条件
- ガラス組成と強度の関係
- 化学強化に適した組成とは
- 実用ガラスの強化で得られる強度
- 化学強化ガラスの性能
- 化学強化ガラスと物理強化ガラスの比較
- 強化条件と強度の関係
- 表面の傷と強度の関係
- 熱処理による強度の低下
- 化学強化ガラスにおける最近のトピックス
- まとめ
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