2050年カーボンニュートラルの実現へ向けて「水素」が注目されている。しかし、現状、水素のほとんどは天然ガスや褐炭などの化石資源から製造されており、製造過程で二酸化炭素を排出している。一方、風力や太陽光などの再生可能エネルギー由来の電気を用いた水電解はカーボンフリーな水素製造技術であり、中でもアルカリ水電解は20世紀初頭から工業的に稼働している。
本講演では、始めに水素が注目される理由や水素のさまざまな製造法について解説する。本題である水電解については、原理や基礎的な熱力学、電気化学をわかりやすく解説し、これらを理解したうえで特にアルカリ水電解に必要な各要素技術の開発状況や課題、国内外の動向ついて紹介する。要素技術の中でも重要となるアノードにフォーカスし、遷移元素から成る複合酸化物およびその超微粒子化触媒の開発動向など、最近の講演者の研究内容も示しながら紹介する。
- 水素社会の実現に向けて
- なぜ「水素」なのか
- 水素の利用
- エネルギー源および化学原料としての水素
- エネルギー貯蔵技術としての電池との比較
- 今後の水素市場
- 水素の製造方法
- 水電解
- 化石資源からの製造
- 工業プロセスからの副生
- バイオマスからの製造
- 光水分解
- 水電解
- 原理
- 水分解の熱力学
- 水電解の電気化学
- 電解電圧の理想と現実 (過電圧について)
- 効率
- 性能向上に向けて
- 水電解の種類と特徴
- アルカリ水電解
- 固体高分子形水電解
- 高温水蒸気電解
- アルカリ水電解
- アルカリ水電解の歴史
- 国内の動向
- 国外の動向 (欧州を中心に)
- 各要素技術の概略
- 実用化に向けた課題 (コストを中心に)
- アルカリ水電解アノードの開発
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