架橋ゴムは、他の材料に類を見ない高伸長性と変形回復性を併せもつ「ゴム弾性」を示す。その発現には、高分子鎖が液体に近い活発な運動状態にあることと、伸長時の高分子鎖の塑性流動を防止する架橋の存在が不可欠である。
本セミナーでは、まず「ゴム弾性」における架橋の役割を理解し、それに関連する物性・構造の解析法の基礎について解説する。つぎに実用的な観点から、架橋ゴム製品の長期信頼性・長寿命化に向けた技術開発の基盤となる変形および劣化挙動の解析手法として、ゴムの分子運動性評価に有効なパルス法NMRとその応用について解説する。さらにSDGsに関連した資源循環型社会の構築を背景に、ゴム弾性を示す易リサイクル材料の位置づけにある熱可塑性エラストマー (TPE) として、架橋反応の導入が必要な動的架橋TPEを対象とするナノフィラー分散制御による高機能化技術、また「選択的架橋切断」を基本とする架橋ゴムのマテリアルリサイクル技術についてそれぞれ紹介する。
- ゴムの物理 – ゴム弾性を理解する -
- ゴムの三次元網目構造と力学的性質
- ゴムにおける弾性力発生とエントロピーとの関係
- ゴム弾性と高分子鎖の形態変化および分子運動の関係
- NMR緩和と高分子の分子運動
- ゴムの架橋状態・構造を調べる – 架橋点形成~変形・劣化 -
- 高分子の特性解析 (キャラクタリゼーション) – 分子特性と物質特性 -
- ゴムの架橋状態・構造解析
- ゴムの架橋状態 (反応) ・構造の解析手法
- ゴムの解析手法における最近の進歩 – 量子ビームの応用 -
- ゴムの力学および劣化挙動解析 – パルス法NMRの応用 -
- パルス法NMRの原理とゴムの分子運動性評価
- パルス法NMRを用いたゴムの劣化 (熱酸化) 解析
- 劣化に伴う架橋状態変化と破壊特性値との関係づけ – 分子運動解析 -
- 動的架橋熱可塑性エラストマー (D – TPE) の高機能化技術 – ナノフィラー複合化 -
- ポリマーブレンドの相分離構造を利用したナノフィラーの分散制御手法
- ナノフィラー分散制御D – TPEの力学物性
- 架橋ゴムのマテリアルリサイクル技術
- 選択的架橋切断によるゴム再生技術 – 高品質の元原料化 -
- ゴム再生/動的架橋の組合せによる高機能化技術
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