地球温暖化への対応として、世界は脱炭素化に向けて猛スピードで変化している。最近のEV (電気自動車) 市場の急拡大はエネルギー政策に大きな転換を促している。エネルギーと脱炭素化の両課題を同時に解決するイノベーションが小型核融合 (フュージョン) 発電である。「夢のエネルギー」である核融合発電への数千億円単位の巨額な投資資金をベースに40社以上の核融合ベンチャー (スタートアップ) 企業が約20年以内の実用炉の早期実現に向けて挑戦をしている。
本講演では、投資資金が多く注目度の高い欧米のベンチャー企業のもつ画期的なイノベーション技術と応用展開について分かり易く紹介する。
- 核融合 (フュージョン) エネルギーとは何か?
- 脱炭素化時代の核融合エネルギー開発
- 核融合発電のしくみ
- 原子力 (分裂炉) 発電とどう違うのか?
- 核融合開発はどこまで進んでいるのか?
- 核融合反応を起こす高温プラズマとは何か?
- 高温プラズマを磁場で閉じ込める方法
- レーザーで核融合発電の方法
- プラズマを高温、高密度かつ定常にする方法
- 核融合ベンチャーへの過熱する投資と支援
- 今なぜ核融合発電が注目されているのか?
- 核融合ベンチャーへの巨額の民間投資と波及効果
- 核融合ベンチャーの支援活動状況
- 欧米と日本の核融合ベンチャーの違い
- 小型で経済的な核融合炉に向けた技術課題と革新的アプローチ
- イーター国際協力で進展するトカマク型核融合炉の技術課題とは何か?
- 中心構造物のないコンパクトなプラズマ閉じ込め方式の利点
- 磁化ターゲット核融合への新しいアプローチ
- 常温超電導強磁場コイルの利用
- 中性子フリーの魅力的な核融合反応の利用と新エネルギー回収法
- 核融合ベンチャーのイノベーション技術
- 常温超電導コイルによるトカマクの強磁場化技術と小型化
- Commonwealth Fusion Systems (米国)
- Tokamak Energy (英国)
- 中性粒子ビーム入射でFRC (反転磁場配位プラズマ) の加熱と定常化技術
- Tri Alpha Energy Technologies (米国)
- プラズモイド (FRC) の加速、衝突合体と急速磁気圧縮と誘導型エネルギー回収技術
- 磁化プラズマガンを用いたコンパクトトーラスの衝突合体圧縮技術
- シアフロー安定化Zピンチで超高密度・高温プラズマ生成技術
- 液体金属用いた遮蔽、エネルギー回収と燃料増殖の炉工学技術
- General Fusion (カナダ)
- Zap Energy (米国)
- First Light Fusion社 (英国)
- 核融合イノベーション技術の応用
- 高電圧大電流のパルスパワー装置
- 宇宙推進機
- 高温超電導モータによる電動化航空機
- まとめと今後の課題