2020年3月に国内でサービスが開始された5Gの人口カバー率は2023年末には98%に達し、普及期に突入した。一方、2019年12月に免許申請が開始されたローカル5Gは、250以上の企業や機関が免許を取得し、300以上の実証実験が報告されている。ローカル5Gは、低価格化に加えて、多くの製品やサービス、構築ツール、性能評価ツール等が提供され、2024年には利用が増加すると予想されている。また、2030年あるいはその先の実現を目指すBeyond 5G/6Gに関してはテラヘルツ波通信、人工知能 (AI) の活用、宇宙通信、量子暗号通信等を含めた議論が活発化し、技術開発が進められている。
本講演では移動通信システムの標準化機関 (3GPP、ITU-R) について説明し、5Gの概要、目標、基本技術、今後の動向、課題等について述べる。次に、ローカル5Gについて、運用方法、利用イメージ、免許申請条件、アプリケーション等を示し、100以上のサービスや実証実験事例を紹介し、今後の動向、課題を述べる。さらに、ローカル5Gと競合しかつ動きが急速に活発化している無線LANの最新と今後の動向を述べ、ローカル5Gと比較、評価し、今後を展望する。Beyond 5G/6Gについては、2023年に明確になった6Gの技術目標とマイルストンを説明し、2022年に3GPPが立上げた5Gと6G間の中間的な5G-Advancedの計画についても述べる。さらに、将来のBeyond 5Gの実現に向けた国内、海外の研究機関や通信事業者、情報通信ベンダのホワイトペーパーの内容紹介も含め、Beyond 5G/6Gの最新動向、将来展望を述べる。
- 移動通信システムの標準化機関と動向
- 標準化機関 (3GPPとITU-R)
- 3GPPのリリースとドキュメント
- 移動通信システムの変遷
- 5G移動通信システム
- 5Gの概要
- 5Gのロードマップ
- 5Gの市場予測
- 5Gの3種類のサービスと利用シナリオ
- 5Gの要求条件 (ITU-R)
- 5Gのサービスの性能差
- 5Gの技術
- 物理層 (5G NR) :主要諸元、高速化/大容量化、低遅延化
- 広い周波数レンジへの対応 (3〜86GHz)
- Massive MIMO
- LDPCとPolar符号
- Shot TTI
- Fast HARQ-ACK
- 使用周波数 (ITU-R WRCにおける検討詳細と国内3.7, 4.5, 28GHz帯)
- RAN-CNアーキテクチャ (SAとNSA)
- システムアーキテクチャの技術要素:ネットワーク仮想化とネットワークスライシング、MEC
- 車 (C-V2X)
- IoTへの対応
- リリース16 (2020.3) に追加された主な機能
- リリース17 (2022.3) に追加された主な機能
- 5Gのまとめ
- 5Gの動向
- 5Gの課題
- ローカル5G
- ローカル5Gの背景
- ローカル5Gとは (準同期TDD)
- ローカル5Gの実証実験事例 (100以上)
- ローカル5Gのコスト面での実現性と課題
- ローカル5Gの運用方法
- ローカル5Gの利用イメージ
- ローカル5Gの免許申請条件
- ローカル5Gで実用化が期待されるアプリケーション
- 代表的アプリケーションと利用シーン例
- ローカル5Gの主なユースケースと適用5G技術
- ローカル5G vs. 無線LAN
- 5G / ローカル5G対無線LANの背景
- ローカル5Gと無線LANの競合 (無線LANは5Gの技術を多く導入し、急速に高性能化)
- IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6)
- Wi-Fi 6をさらに高性能化 (Wi-Fi 6E)
- 次世代無線LAN IEEE 802.11be (Wi-Fi 7)
- 無線LAN の今後の展開
- IEEE 802.11ay 60GHz無線LAN
- IEEE 802.11az 誤差1m以内での位置測定
- IEEE 802.11ba 超低消費電力
- IEEE 802.11bc 放送型無線LAN
- IEEE 802.11bf ネットワークセンシング
- IEEE 802.11bb 光無線LAN Li-Fi
- ローカル5Gの導入シナリオ
- ローカル5Gの今後
- ローカル5GとIoTセンサネットワークLPWAの同時利用
- Beyond 5G / 6G移動通信システム
- Beyond 5G / 6Gの背景
- 6Gの技術目標
- テラヘルツを利用した5Gの10倍から100倍の超高速大容量
- 100Gbps以上の通信速度
- アクセス通信速度:5Gの10倍
- コア通信速度:5Gの100倍
- アップリンクの性能向上
- 5Gの1/10の超低遅延、低ジッタ
- 5Gの10倍の超多数同時接続
- 2022年現在の1/100の超低消費電力
- 超安全 (量子暗号等)
- 超高信頼 (5Gの1/100以下の誤り率)
- 超カバレッジ拡張
- 地上に加え、非地上系NTNの海・空・宇宙での利用
- 衛星通信LEO vs. HAPS
- 固定-移動通信融合
- AI/ML利用による自律的運用
- CPS (=デジタルツイン) の完全時刻同期の実現→遠隔高没入感メタバース
- 超高精度測位
- 補完ネットワークとの高度同期期
- 6Gのマイルストンと5G-Advanced (2024年に仕様策定)
- 海外動向
- 米国 (Next G Alliance等)
- 欧州
- SNS JU
- Horizon Europe
- Hexa-X
- Hexa-X II等
- 中国
- 韓国
- 国内動向:Beyond 5G / 6Gのイメージと開発技術
- NICT (情報通信研究機構) … ホワイトペーパー第3版 (2023.3)
- NTTドコモ … ホワイトペーパー第5版 (2022.11)
- KDDI … ホワイトペーパー第2.0.1版 (2021.10)
- ソフトバンク
- 楽天
- NEC
- 富士通