数nm〜数百nmサイズの物体の形状測定は、ナノテクノロジーの根幹を成す基礎技術である。高精度な形状測定法として広まっている技術として電子顕微鏡が挙げられ、実際に多くのナノスケール構造解析において中心的役割を果たしている。これに対し、特に高分子やコロイド分散液中の溶質の構造測定法として広く使われている手法に、散乱法が挙げられる。実用面から見た散乱法の最大の利点は、試料を真空中に置く必要がないため、溶液状態のまま計測できる点にある。溶媒に分散している分子や粒子は、溶媒がなくなるとその構造を変えるため、溶液状態での構造測定は大変重要である。
本セミナーでは、散乱法を用いた構造解析について、基本的な事項を中心に解説を行う。その中でも、溶液中の粒子の粒径分布計測法として広く知られている動的光散乱法について詳しく解説を行う。動的光散乱法は散乱法の中では特殊で、散乱光強度のゆらぎから粒径を推定する。そこで、散乱光強度のゆらぎの起源について干渉を基に解説し、ゆらぎの解析法について演習を交えて紹介する。
- はじめに
- 顕微鏡法と散乱法
- 散乱法の分類
- 散乱の基礎理論
- 波の数学的記述
- 2点からの波の干渉
- 粒子内干渉:形状因子
- 粒子間干渉:構造因子
- 光源による散乱の違い
- 非弾性散乱
- 動的光散乱
- 粒子のブラウン運動
- 散乱光強度のゆらぎ
- 時間相関関数
- アインシュタイン – ストークスの式
- 粒径分布関数への変換
- 動的光散乱の計測装置
- 電気泳動光散乱によるゼータ電位計測
- 動的光散乱の解析演習
- 最近の研究内容
- ソフトウェアベース動的光散乱
- 動的ラマン散乱
- 顕微動的光散乱
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- 視聴期間は2024年4月19日〜5月3日を予定しております。
ご視聴いただけなかった場合でも期間延長いたしませんのでご注意ください。