油脂は食品・化粧品などの主要な基材であるが、空気中の酸素との反応により酸化劣化し、食品や化粧品などの品質劣化をもたらすことが問題となる。したがって、油脂の機能性や特徴を活用するためには油脂の性質を知り、その酸化劣化を防止することが品質管理上、重要である。
本講演においては、油脂・脂質の構造、種類、性質およびそれらの機能性について紹介した後、油脂の自動酸化・加熱劣化の機構と評価法、酸化防止機構と酸化防止剤と相乗剤の利用法などについて、実例を加えながら説明する。
- はじめに
- 油脂・脂質とは
- 脂質
- 油脂
- 脂肪酸
- 食用油脂
- 食用油脂の種類
- 主な食用油脂の脂肪酸組成
- 主な食用油脂の性質
- 食品における油脂の役割
- 機能性油脂
- 各種機能性脂肪酸
- エステル交換反応による機能性油脂の調製
- 油脂の自動酸化
- 自動酸化反応とは
- ラジカル連鎖反応
- 開始反応
- 一次酸化反応
- 二次酸化反応
- 多価不飽和脂肪酸の酸化
- 生成物の経時的変化
- 非ラジカル反応
- 酵素反応
- 油脂の加熱劣化
- 加熱劣化反応とは
- 食用油脂の加熱温度
- 油脂の加熱劣化現象
- 加熱油脂の変質
- 酸化反応
- 熱重合、熱分解反応
- 加水分解反応
- 加熱劣化反応に影響する因子
- 油脂の構成脂肪酸の影響
- 油脂の酸化劣化度の評価
- 油脂の酸化劣化に関する食品衛生法
- 加熱油脂の使用限界
- 基準油脂分析試験法における酸化劣化度評価法
- 過酸化物価
- 酸価
- カルボニル価
- アニシジン価
- 極性化合物量
- 重合物量
- 各測定値の相関性
- 酸化安定性試験
- 適切な酸化劣化度評価法とは
- 油脂の酸化防止
- 酸化防止の考え方
- 酸化防止機構
- 各種酸化防止剤
- 酸化防止相乗効果とは
- 各種酸化防止相乗剤
- 非水系および乳化系における酸化防止
- 加熱劣化防止
- 各種条件下における酸化防止能に影響する因子
- おわりに