放熱設計はかつての外気導入による対流主体の冷却から、熱伝導による筐体への熱移動による冷却に大きく変化してきた。また表面実装部品の増加により、電気・電子機器に使用される基板の様相が大きく変化してきている。基板を通した熱伝導が主体になってくると、そのための高性能な熱移動デバイスがますます必要となってくる。この数年、パッケージの高出力化に対応したTIM (Thermal Interface Material) の進化は目覚ましく、この分野への新規参入メーカーも絶えない。
本講座ではこの基板実装技術の進化に伴う放熱デバイスの使い方について、実際の商品の実例を示しながら詳しく解説していきたい。特にTIM材については、多種多様なTIM材から最適な製品をどのように選定すべきか悩むケースが多いが、単純にコストや熱伝導率だけではなく、熱の移動原理をきちんと把握することにより体系的な選択が出来るよう説明する予定である。
- 最近の電気・電子機器における放熱設計の現状と課題
- 電子機器の放熱設計は変わりつつある
- 急速な電力密度の増加
- 大気放熱から基板放熱へ
- 熱設計を始めるにあたって直面する課題
- TIM (Thermal Interface Material)
- TIMの役割
- TIMにおけるフィラーの役割
- 現在入手可能なTIM材とその特徴
- 熱伝導シートの商品トレンド
- TIM材とビオ数
- TIM材の具体的な選定方法
- TIMの高性能化
- 炭素繊維鉛直配向熱伝導シート
- ソルダーTIM
- 液体金属
- 低誘電率熱伝導シート
- 実際のTIMの使われ方
- ノートPC
- スマートフォン
- 車載用バッテリー
- 空冷、液冷、液侵のそれぞれの冷却方式の特徴と課題
- 質疑応答
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