磁性材料は古くから研究されています。最初はバルク材料を対象とし、強力かつ安定な永久磁石が探求されてきました。その後、材料の加工技術が向上するにつれ、研究対象が、薄帯、薄膜、超薄膜へと、より小さなサイズへ展開され、磁気に関する多くの成果が得られました。そして近年注目されているスピントロニクスにおいても磁性材料は基幹材料の一つであり、新たな現象の発見や原理の解明がなされています。また、それらの一部は実用化されています。
本セミナーでは最初に、そのような魅力を現在でも有する磁性材料について講演します。この章では主に、磁石はなぜ磁石になるのか、という磁性発現のメカニズムを基礎から解説します。次にスピントロニクスについて講演します。この章では主にスピン流という重要概念を基礎から説明します。また、講演者らのスピン流に関する最新研究についても併せてご紹介します。
- 磁性材料の基礎
- 常磁性体
- 磁化の温度依存性 (キュリー則の導出)
- 磁化過程 (磁化曲線)
- 強磁性体
- 交換相互作用
〜磁石は、なぜ磁石になるのか〜
- 磁化の温度依存性 (キュリー・ワイス則の導出)
- 磁気異方性、磁区、磁壁
- 磁化過程 (磁化曲線)
- その他の磁性体、および関連物理
- スピントロニクスの基礎
- 電流とスピン流
- スピン流の生成方法
- スピン流の検出方法
- スピン偏極電流による研究開発
〜トンネル磁気抵抗効果関連を主として〜
- 純スピン流による研究開発
〜スピントランジスタ関連を主として〜
- まとめ
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