疼痛治療の実際・求める薬剤のプロファイル

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本セミナーでは、痛みに関する各種ガイドラインや薬物の適切な使用方法を実際の症例を提示し解説いたします。

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プログラム

第1部 「痛みの病態と治療」

〜各種疼痛ガイドラインを含めて〜

(12:30〜14:30)

 2020年疼痛医学という本が上梓された。これは疼痛の基礎研究から臨床治療法までを網羅的にかつ系統的に学習できる我が国初の痛みの教科書である。ここには、「慢性疼痛は、明確な定義はない。以前は発症からおおむね6か月を超えて症状が持続している病態を指していることもあったが、現在は、薬物療法の充実などにより3か月以上とすることが多い」と記載されていて、急性疼痛と慢性疼痛の概念を区別して説明している。  実際の痛み診療については、最近になって各種のガイドラインが著わされてきた。2021年3月には慢性疼痛診療ガイドライン、2019年5月には腰痛診療ガイドライン改訂第2版が発刊された。疼痛の薬物治療については、神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂第2版 (2016年6月) 、非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン改訂第2版 (2017年7月) が発刊された。演者はこのいくつかのガイドライン作成に委員として携わった経験がある。ガイドラインとは、健康に関する重要課題について、医療利用者と提供者の意思決定を支援するために、システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最適と考えられる文書である。要するにエビデンスに基づいた診療の指針であるため、痛みに関する様々な知見が科学的に少しずつ明らかになってきたと言える。しかし、実際にはこれまでのエビデンスが足りず、クリニカルクエスチョンに十分答えられない場合も多いのが現状である。  痛みには侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛の分類があり、これらの病態を把握した上でその病態に応じた治療が必要である。疼痛治療に関する薬剤は、最近の10年で大きく様変わりし、使用できる種類も増加している。医療者にとっては武器が増えたと言える。しかし病態を適切に把握した上でないと期待した効果が発揮できないとも考えられる。  本講演では痛みに関する各種ガイドラインを紐解きながら、私が考える薬物の適切な使用方法を実際の症例を提示し解説する。

  1. 痛みに関するガイドラインの紹介
  2. 痛みの捉え方
  3. 診断
  4. 症例の紹介、解説
  5. 痛みに対する治療
    • 運動療法
    • 薬物療法
    • 一部手術療法
  6. 各治療における注意点

第2部 「将来有望な鎮痛カスケードの動向と整形外科から観た国内外における運動器慢性痛の疫学」

〜侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛の薬物療法、集学的診療の現況〜

(14:40〜16:30)

 整形外科で診療する運動器疼痛疾患 (ほとんどが慢性疼痛患者) に対する治療は長らく、消炎鎮痛薬 (NSAIDs) のみの投与であった。それにたいして近年導入が 図られた神経因性疼痛治療薬やオピオイド、更に新しい痛みの概念である痛覚変調性疼痛を含め、痛みのメカニズムに合わせての治療が行われるようになった。  本邦のみの情報のみではなく、国外や治験経験なども踏まえ将来の運動器疼痛疾患に対する展望を示す。

  1. 運動器疼痛患者数
    • 運動器疼痛患者数は大きなマーケットである。患者数は1000万人以上である。
  2. 運動器疼痛疾患とは?
  3. 各種関節痛由来の疼痛発生のメカニズム
  4. 侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛
  5. 整形外科における関節痛の治療と疼痛緩和治療の実際
  6. 運動器慢性疼痛に対するオピオイド治療
  7. 見直されるアセトアミノフェン
  8. 臨床試験の際に注目する点
    1. 患者の視点と医師の視点
    2. 医師の視点と企業の視点
  9. 臨床試験の際の副作用を如何に克服するか?
    1. 嘔気
    2. 眠気
    3. 浮動性めまい
    4. 便秘
  10. 臨床試験の際のプラセボ効果を除くための工夫
  11. 臨床医が考える臨床試験の際のエンドポイント
  12. 疼痛治療薬への要望・求める薬剤のプロファイル、期待するカスケード、将来有望な鎮痛カスケード

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